4. 年金の手取り額を増やすには
年金の手取り額を増やすには、節税して税金を減らす方法と、そもそもの年金受給額を上乗せする方法があります。
節税として効果的なのは、医療費控除の活用です。医療費控除は、実際に支払った医療費から保険金の補填金額を除いた分から、10万円を引いた金額が所得から控除される制度です。所得自体が少なくなるため、所得税・住民税どちらも軽減が期待できます。
このほか、生命保険料控除など老後でも利用できる控除を使えば、所得を減らせるため、節税につながります。
年金受給額自体を増やすのであれば、私的年金の備えをするのがよいでしょう。私的年金をつくる方法には、さまざまなものがあります。
- iDeCo:掛金が所得控除の対象になる、受取時は一定までなら非課税になるなど、税制優遇のメリットが豊富。
- 個人年金保険:保険料が所得控除の対象になる。公的年金と同様に終身で年金を受け取れる商品もあるなど、老後のライフプランにあわせた年金づくりができる。
- 企業年金:企業が掛金を拠出して給付する年金。公的年金を実質的に上乗せできる。
受給額が増える分、納める税額や社会保険料も増加する可能性がありますが、年金を上乗せすることで老後生活が安定しやすくなるでしょう。
5. まとめ
年金が月額15万円の場合、手取り年金額は約13万円です。毎月約2万円が税金・社会保険料として差し引かれますが、その負担は決して小さくありません。
手取り年金額を増やすには、各種控除制度を活用したり私的年金をつくったりとさまざまな方法があります。現役のうちから私的年金づくりに備え、老後の生活では控除を活用するなど、工夫して手取り年金額を増やし、老後に安心して生活できるよう備えましょう。
参考資料
- 国税庁「高齢者と税(年金と税)」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 新宿区「住民税について」
- 新宿区「保険料の計算方法について」
- 新宿区「介護保険料の決まり方」
- 総務省「家計調査報告 〔 家計収支編 〕 2024年(令和6年)平均結果の概要」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
石上 ユウキ