3. 初任給が急騰する理由とは

初任給が急激に引き上げられている理由は、優秀な人材の確保や物価高の影響、政府が賃上げを積極的に進めていることなどが考えられます。

なかでも、人材確保は大きな要因といえるでしょう。少子高齢化にともない、現役世代の人口は減少傾向にあります。近年急速に進められているDXを推進できるIT人材や、企業の将来を担う若手人材は、どの企業も欲しいものです。

自社を選んでもらうために魅力的な初任給を提示し、優秀な学生を確保しようとしているのが、初任給の高騰につながっています。

物価についても、ここ数年で急激に上昇しています。2025年7月の消費者物価指数(総合指数)は、2020年を100として111.9です。前年同月比で3.1%、前年比でも0.1%上昇しています。

物価が上がれば、その分を補うために賃金も増やさなければなりません。とくに新卒社員はほかの社会人とは異なり貯蓄や資産が少ないため、物価高の影響が大きくなってしまいます。従業員の生活を守る意味でも、初任給を引き上げざるを得ない状況なのです。

一方で、帝国データバンクの「初任給に関する企業の動向アンケート(2025年度)」によれば「人材不足を解消するために初任給を引き上げたものの、固定費の増加により厳しい財政状況を強いられている」と回答している企業もあるようです。初任給の大きな引き上げは、企業の体力消耗を早める可能性も考えられます。

次章では、今後のキャリアの展望を解説します。