がんと診断されたとき、最も心配になるのは治療にかかる費用ではないでしょうか。手術、抗がん剤、放射線治療など、長期にわたる治療は想像以上の経済的負担となることがあります。

本記事では、がん治療の実際の費用データをもとに、公的制度を活用した自己負担の軽減方法や、万が一治療費が払えない場合の対処法について専門的な観点から詳しく解説します

1. がん治療で発生する費用の種類

がんと診断され、治療をするとなった場合、どんな費用がかかってくるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。

1.1 直接的な治療費用

がん治療では、手術費用、抗がん剤などの薬剤費、放射線治療費が主要な費用となります。これらは基本的に公的医療保険の対象となるため、現役世代の場合は3割負担で治療を受けることができます。

ただし、先進医療や自由診療を選択する場合は全額自己負担となるため注意が必要です。特に、がん治療の選択肢を広げたい場合は、このような高額な治療費も考慮に入れておく必要があります。

1.2 入院・療養にかかる費用

がんの手術や集中治療のための入院では、医療費以外にもさまざまな費用が発生します。個室での療養を希望する場合の差額ベッド代は、全国平均で1日あたり約8000円となっており、入院期間が長引くほど大きな負担となります。

また、入院時の食事代や日用品レンタル費用、家族の交通費や宿泊費なども公的医療保険の対象外となるため、これらの費用も想定しておく必要があります。

1.3 治療に伴う生活費の増加

がん治療中は、通常よりも健康管理に配慮した食生活やサプリメント摂取、定期的な通院のための交通費など、さまざまな追加費用が発生します。

特に、抗がん剤治療による脱毛に対応する医療用ウィッグは数万円から数十万円の費用がかかることがあり、治療費以外の負担も軽視できません。