「読書の秋」「食欲の秋」といった言葉に表されるように、10月は心に少し余裕が生まれる季節です。そんな落ち着いた時間の中で、将来の暮らしについて考えてみるのも良いかもしれません。

一方で、実際に老後を迎えた高齢者の生活には厳しい現実もあります。調査によると、「老後にゆとりがある」と感じている人はわずか4%程度にとどまり、半数以上が「生活が苦しい」と答えています。

では、なぜこれほど多くの高齢者が経済的な不安を抱えているのでしょうか。

この記事では、高齢者の家計の実態や年金の平均受給額をデータに基づいて解説し、老後の生活に潜む課題を明らかにします。10月の静かな夜に、自分自身の将来の生活設計を見直すきっかけとして、ぜひ最後までご覧ください。

1. 5割超のシニアが「生活苦しい」と実感している

まず、現代の高齢者がどのような生活意識を持っているのかについて、厚生労働省が公表した「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」から確認していきましょう。

この調査によると、高齢者世帯の生活意識は次のような結果となっています。

【高齢者世帯の生活意識】

  • 大変苦しい:25.2%
  • やや苦しい:30.6%
  • 普通:40.1%
  • ややゆとりがある:3.6%
  • 大変ゆとりがある:0.6%

「大変苦しい」と「やや苦しい」を合わせた割合は55.8%に達しており、高齢者では「普通」と答えた人よりも、生活が「苦しい」と感じている人の方が多い状況となっています。