公的年金は老後に欠かせない収入源のひとつですが、その額は毎年、物価や経済情勢に応じて改定が行われています。

2025年度は前年度比で1.9%増額となり、多くの受給者の年金が引き上げられることになりました。

とはいえ、物価上昇に比べて年金増額率の伸びは鈍く、実質的には目減りが続いているのが現状です。

では、60歳代から90歳以上の「シニアが受け取る平均的な年金月額」は実際どのくらいなのでしょうか。

本記事では、2025年度のモデルケースに基づく年金額の例と、令和シニアが受け取っている平均額について紹介します。

10月から「年金が増える人・減る人」についても紹介していますので、あわせて参考にしてください。

1. 【2025年度は1.9%の増額】公的年金(厚生年金・国民年金)の年金額例はいくら?

厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」によると、2025年度の年金額例は以下のとおりです。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):6万9308円(1人分)
  • 厚生年金:23万2784円(夫婦2人分)

国民年金の月額6万9308円は、40年間すべての期間で保険料を納めた場合に受け取れる「1人分の満額」として示されています。

この金額は、主に自営業者やフリーランス、あるいは厚生年金に加入していなかった専業主婦(主夫)などが対象となる水準です。

一方、厚生年金については、標準報酬月額45万5000円(賞与を含む)で40年間勤務した男性をモデルにした受給額が公表されています。

この厚生年金額は「夫婦2人分」を前提としており、老齢厚生年金に加えて、夫婦それぞれが満額の老齢基礎年金を受け取ることを想定した合算額です。

上記の年金額例は、国民年金は「満額受給だった場合のケース」、厚生年金は「一定の条件を満たしたモデル夫婦2人分の例」であり、全員が同じ金額を受け取れるわけではありません。

では、実際に現在60歳から90歳以上の「一般的なシニア」は、平均して月いくらの年金を受給しているのでしょうか。