現代は「人生100年時代」といわれ、老後の収入源となる「公的年金」は生活を支える柱となっています。
この公的年金は物価や経済状況にあわせて毎年改定されていますが、2025年度は1.9%の引き上げにとどまりました。
しかし、その上昇幅は物価高に追いつかず、実際には年金の実質的な価値が低下し続けているのが現状です。
こうした年金水準の厳しさから、多くの高齢者が生活にゆとりのなさを感じています。
10月は物価や社会保障の動向が注目される時期でもあり、家計の見直しを考えるシニア世代が増える季節です。年末に向けて支出が増えるこの時期だからこそ、「年金と貯蓄でどの程度の生活ができるのか」を具体的に把握しておくことが大切です。
では、すでに年金生活をスタートさせている年代である70歳代の「平均的な貯蓄額」や「ひと月の生活費」はどの程度なのでしょうか。
本記事では、70歳代の平均貯蓄額と毎月の生活費を紹介するとともに、シニアが受け取っている「公的年金」の平均月額についてもあわせて解説します。
1. 【生活意識】高齢者の5割強が「生活が苦しい」と回答
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、高齢者世帯のうち55.8%が「生活が苦しい」と感じていることが明らかになっています。
「普通」と回答した人は40.1%にとどまり、それを超える割合の人が「苦しい」と感じている状況です。
さらに、厚生労働省の同調査によれば、公的年金だけで100%生活している人は43.4%に過ぎず、高齢者世帯の半数以上は年金収入のみでは生活を維持できず、就労収入や貯蓄の取り崩しで生活費を補っている実態がうかがえます。
これらの結果から、現代においては公的年金だけでは生活資金を十分にまかなえず、経済的に厳しい状況に置かれている高齢者が少なくないことが見て取れます。
では、70歳代の「ひと月の生活費」はいくらくらいなのでしょうか。