日本人の死因の約半数を占める三大疾病(がん・心疾患・脳血管疾患)に加え、近年注目されているのが八大疾病です。

これらの病気は治療が長期化しやすく、医療費負担も重くなる傾向があります。生活習慣病に幅広く備えたい方にとって、八大疾病保険は選択肢の一つになります。

本記事では、八大疾病の基本から保険選びのポイントまで、プロの観点から詳しく解説します。

1. 八大疾病の基礎知識

八大疾病とは、三大疾病である「がん(悪性新生物)・心疾患・脳血管疾患」に、「高血圧性疾患・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎」を加えた8つの疾病を指します。これらは主に生活習慣が原因となる病気で、食事習慣、運動不足、喫煙、過度の飲酒などが発症リスクを高めます。

慢性膵炎はあまり聞きなれない病気かもしれませんが、男性では飲酒が原因となることが多く、女性では原因不明の特発性が多く見られるのが特徴です。膵臓の機能が徐々に低下し、さまざまな合併症を引き起こす可能性があります。

1.1 三大疾病・七大疾病・八大疾病の違い

保険商品を選ぶ際には、保障範囲の違いを理解することが重要です。三大疾病は日本人の死因上位を占める重篤な疾患で、近年は医療技術の進歩により死亡率は減少していますが、入院や通院による治療が長期化する傾向にあります。

七大疾病は三大疾病に生活習慣病四疾患(高血圧・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変)を追加したもので、八大疾病はさらに膵疾患を含めた範囲となります。保障範囲が広がるほど保険料は高くなる傾向があるため、自身のリスクと保険料のバランスを考慮した選択が必要です。

2. 八大疾病に備える保険の種類と特徴

八大疾病に備えられる保険には主に4種類です。「医療保険」は、入院・手術時の保障で、八大疾病にも備えられます。また、特約を付加することで、上乗せの給付金を受け取ることができる商品もあります。

「がん保険」「三大疾病保険」「八大疾病保険」は文字通りそれぞれの病気に対して備えられる保険で、診断確定や入院・手術など所定の条件に該当した際に、一時金が受け取れる保障が一般的です。

2.1 医療保険による備え

医療保険は病気やケガ全般をカバーする基本的な保険です。主契約で八大疾病による入院・手術は保障されますが、特定疾病特約を付加することで、より手厚い保障を受けることができます。

生活習慣病特約では、該当疾病での入院時に通常の給付金に上乗せして給付金を受け取れたり、治療を受けた際に給付金が支払われるものがあります。医療保険をベースにすることで、八大疾病以外の疾患にも包括的に備えられます。

2.2 がん保険の役割と限界

がん保険はがんに特化した保険で、診断一時金、治療給付金、通院給付金など、がん治療に特化した保障が特徴です。女性特有のがんに対する手厚い保障や、先進的な治療法にも対応しているものが多くあります。

ただし、がん保険はがんのみが対象となるため、八大疾病全体に備えたい場合は、医療保険との組み合わせや特定疾病保険を検討するのが良いでしょう。

2.3 三大疾病・八大疾病保険の特徴

三大疾病保険や八大疾病保険は、対象疾病に罹患した際にまとまった一時金を受け取れるのが特徴です。診断確定時や所定の状態になった時に給付金が支払われ、受け取ったお金の使い道は自由です。

八大疾病保険の中には、生活習慣病での通院治療を月単位で保障するタイプもあり、長期治療に対応した商品設計となっています。保険会社によって給付条件や対象疾病の定義が異なるため、加入前に重要事項説明書や約款をしっかり確認しましょう。