2. 保険料が増加傾向の理由は「介護給付費」の増加
保険料が上昇し続ける要因は、介護サービスを提供するお金である「介護給付費」が増えていることです。
厚生労働省の「令和5年度介護保険事業状況報告(年報)」と「令和4年度介護保険事業状況報告(年報)」を参考に、予納給付も含めた介護保険の給付費を見てみましょう。
- 2023年度:10兆2758億円
- 2022年度:9兆9670億円
直近の状況では、約3000億円も給付費が増加しています。給付費は10兆円を超え、過去最高の支出額にまで増えてきているのです。
給付費が増えるのは、以下の2つの要因が考えられます。
- 高齢化が進んでいること
- 介護報酬が引き上げられていること
日本の高齢化は、急速に進んできました。内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によれば、国内の65歳以上人口は全体のうち3624万人(29.3%)で、いよいよ高齢者人口は3割に迫ってきています。
2025年は第一次ベビーブームの際に生まれた団塊世代が全員、75歳以上の後期高齢者となります。年齢を重ねるほど介護サービスを利用する機会も増えるため、給付費も上昇傾向にあるのです。
また、介護に携わる人々の処遇改善のために、介護報酬が引き上げられているのも上昇要因です。介護報酬とは、介護サービスを提供した事業者に対価として支払われるものです。2024年度、介護報酬は介護職員の賃上げ実現のために1.59%引き上げられました。こうした引き上げ分の財源を確保するために、保険料負担も増えているのです。
次章では、介護保険料が高い自治体・低い自治体を見てみましょう。