11月といえば、年末に向けて家計や資産を見直す人が増える時期です。ボーナスの使い道を考えたり、1年の投資成果を振り返ったりと、「お金」に意識が向く季節でもあります。

最近では株価の上昇や円安の影響もあり、富裕層の資産がさらに拡大しているというニュースを耳にすることも多くなりました。一方で、老後資金やインフレへの不安から、「自分も資産形成を始めたい」と考える人も増えています。

では、日本では実際にどのくらいの人が富裕層に分類されるのでしょうか。そして、彼らはどのようにお金を増やし、守っているのでしょうか。今回は、日本における富裕層の割合と、資産運用のコツについて紹介していきます。

1. 富裕層の「上手なお金の増やし方・守り方」のポイント

まずは、現役ファイナンシャルアドバイザーの視点から「富裕層の資産運用のコツ」をご紹介していきます。

1.1 ポイント1:目的をはっきりさせる

資産運用を考えるときに、最初に大切なのは「何のために増やしたいのか」という目的を明確にすることです。老後の生活費を確保したいのか、子どもの教育資金を準備したいのか、それとも次の世代に資産を引き継ぎたいのか。目的によって、選ぶべき方法はまったく変わってきます。

目的が決まれば、投資期間やリスクの取り方も自然と見えてきます。

「老後資金を守りたい」という方なら安定重視の運用が向いていますし、「資産を増やして次世代に残したい」という方なら、もう少し成長を狙った戦略が必要です。

最初に“お金の使い道”をしっかり描くこと。これが、失敗しない資産運用の第一歩です。

1.2 ポイント2:分散と長期目線を忘れない

富裕層の方々は、ひとつの資産に偏らず、株式・債券・不動産・投資信託などに分けて投資しています。こうすることで、どれかが値下がりしても他の資産でカバーできるため、全体として安定したリターンを狙えます。

そしてもう一つの特徴が「長期視点」。短期的な値動きに振り回されず、10年、20年という時間を味方につけて資産を育てる姿勢を大切にしています。

投資の基本は「長期・積立・分散」。この3つを守るだけで、リスクを抑えつつ“複利の力”を最大限に活かせます。

これは富裕層に限った話ではなく、一般の方でも少額から取り入れられる考え方です。

1.3 ポイント3:税金対策と専門家の力を借りる

資産を増やすことと同じくらい、富裕層が重視しているのが「資産を守ること」です。そのために欠かせないのが、税金対策です。

たとえば、NISAやiDeCoなどの税制優遇制度を上手に使って、手取りのリターンを最大化しています。

さらに、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家と定期的に相談し、法改正や市場の変化に素早く対応できる体制を整えています。

こうした考え方は、富裕層だけのものではありません。誰でも、税制の仕組みをうまく活かし、必要に応じて専門家のアドバイスを取り入れることで、より安全で効率的な資産運用ができるようになります。