5. 症状別医療費の自己負担額目安

5.1 軽症(Ⅰ度)の治療費

軽症の熱中症では主に点滴治療や水分補給が行われます。初診料291点、点滴注射102点として計算すると、医療費総額は約3930円、3割負担での自己負担額は約1179円となります。

血液検査や尿検査が追加される場合を含めて、自己負担額は2000円から3000円程度を想定しておくと良いでしょう。ただし、夜間・休日の救急外来受診時は追加料金が発生する可能性があります。

5.2 中等症(Ⅱ度)以上の治療費

中等症では入院治療が必要になることが多く、初診料、入院基本料、各種検査料、治療費などが加算されます。1日あたり数万円の自己負担が発生し、入院期間が長引けば更に負担が大きくなります。

重症(Ⅲ度)の場合は集中治療室での治療や長期入院が必要となり、医療費総額が100万円を超えるケースも珍しくありません。健康保険適用後でも約30万円の自己負担となる可能性があります。

6. 医療費負担軽減のための公的制度

もし熱中症で治療で高額な医療費が発生してしまった場合、公的保障で負担を軽減できるかもしれません。ここでは、医療費の負担を軽減できる方法を保険のプロが解説します。

6.1 高額療養費制度の活用

月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、高額療養費制度により超過分の払い戻しを受けられます。69歳以下の一般的な所得世帯では、月額約9万円程度が自己負担の上限となります。

ただし、差額ベッド代や食事代は制度の対象外のため、個室を希望する場合は1日8000円以上の追加負担が必要になることもあります。

6.2 医療費控除の適用

年間の医療費総額が10万円以上(所得200万円未満の場合は所得の5%以上)となった場合、確定申告時に医療費控除を受けることができます。熱中症の治療費も控除の対象となるため、領収書の保管を忘れずに行いましょう。