秋風が心地よく感じられるこの季節、老後の暮らしについて考える良い機会かもしれません。公的年金は物価や経済情勢に合わせて毎年改定されており、2025年度は1.9%の引き上げが行われました。
一見すると喜ばしい増額に思えますが、実際には物価上昇に追いつかず、年金の実質的な価値は減り続けています。
低い年金水準が続く現代では、年金だけでは生活を維持できないシニア世帯が「ふつう」となりつつあるのが現状です。
本記事では、こうしたシニア世代の「生活の実態」や「年金受給の現状」について詳しく解説していきます。
1. 老後、年金だけで生活できないシニア世帯は「ふつう」なの?
厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、100%年金だけで生活できている世帯は「43.4%」となりました。
つまり、およそ6割の高齢者世帯は年金収入だけでは生活を維持できず、就労収入や貯蓄の取り崩しで不足分を補っている状況です。
実際に、総務省「統計からみた我が国の高齢者」によると、65〜69歳で52.0%、70〜74歳で34.0%が就業しており、高齢者の就業率は過去最高水準に達しています。
さらに、厚生労働省「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の高齢者世帯の55.8%が「生活が苦しい」と回答しており、経済的な厳しさが浮き彫りとなっています。
これらのデータからも、「老後は年金だけで生活できる」という考え方は、もはや現実的ではなくなっていることが明らかです。
では実際に、シニア世帯の1か月あたりの家計収支はどのような状況になっているのでしょうか。