「そんなことで大げさな」なんて思う人もいるかもしれません。でも、実際にそう悩んでいる人はたくさんいると思うのです。「子どもを叩くなんて、自分は母親失格だ」と自分自身を責めてしまったり、「これから先、二度と子どもを叩かない。絶対に叩かない!」と自分自身に強く言い聞かせることで余計に意識してしまったり。

「子育てとはこうあるべき」という確固とした信念を持っている人や、「自分はこういう母親になりたい」という強い理想を持っている人ほど、この呪縛にとらわれやすいような気がします。

でも、親だって人間。感情が爆発してしまうことや気持ちが制御できなくなってしまうこともあるはず。怒りにまかせてとっさに手が出てしまうことも仕方ないと思うのです。

ただ、ここで誤解しないでほしいのが「子どもに手をあげてもいい」と容認しているわけではない、ということ。やはり、手をあげるより、言葉で言い聞かせる方が子どもにとっても親にとってもいいに決まっています。

手をあげてしまったことは反省すべきこと。でも、必要以上に自分を責め続けてしまうのは得策ではありません。まずはなぜ叩いてしまったのか、その原因を自分で考えてみましょう。

もちろん「疲れているから」「心に余裕がなかったから」などというのは言い訳にもなりませんし、手をあげたことを正当化できる理由にもなりません。でも、そのときの状況や自分の精神状態を考えたら、次に手をあげてしまいそうになったときの対処法が見えてくるのではないでしょうか。

「あ、このままいけば子どもに手をあげてしまいそう」と思ったら、いったん子どもから離れてみる、近くにあるクッションを叩く…。ちなみに筆者は、カッとなったら子どもをギュッと抱きしめます。逆効果に見えて、結構気持ちが落ち着きますよ。

悩んでいるのはあなたひとりじゃない

子どもに手をあげてしまった、という悩みは、なかなか他人には相談しにくいことです。「きっとこんなひどい母親は自分だけだ」と自分を責めるよりほかないですよね。でも、そんな風に思わないで。もしどうしてもはけ口が欲しくなったら、専門家に相談するのもありです。

恥ずべきことではありません。「どうにかしたい」と悩み、考え、行動する。それも我が子への愛情がなせること、なのです。

大中 千景