10月に入り、空気もすっかり秋らしくなってきました。行楽の予定を立てたり、年末に向けた準備を始めたりと、何かと慌ただしくなるこの季節ですが、家計を見直すにはちょうどいいタイミングでもあります。
特に「老後資金」について考えるとき、今のシニア世代がどんな家計状況で暮らしているのかを知ることは、将来の生活設計を考えるうえで大きなヒントになります。
たとえば、70歳代の平均的な貯蓄額やシニア世代の年金の受給額、1カ月の生活費はどれくらいなのでしょうか?
実際の数字を知ることで、「老後にいくら必要なのか?」という疑問に、少しずつ答えが見えてくるかもしれません。
この記事では、最新の公的データをもとに、シニア世代のリアルな家計事情をわかりやすく解説します。現役世代の方が老後に向けて備えるためのヒントや気づきをお届けしますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 年金制度改正法が成立。現役世代も考えておきたい「老後のこと」
2025年6月13日、国会で年金制度改正法が成立しました。
今回の改正では、現役世代の保障強化に加え、働きながら年金を受け取るシニア世代への制度調整、さらに私的年金制度の充実まで、幅広い見直しが盛り込まれています。
なかでも、在職老齢年金の支給停止基準の大幅な緩和は、シニア世代の年金受給と就労の両立を後押しするものです。
実際に、総務省の「2024年(令和6年)労働力調査」によると、65歳以上の就業者数は930万人(前年比+16万人)に。シニア世代の就労は確実に増えています。
その一方で、厚生労働省の統計によれば、平均寿命(※1)と健康寿命(※2)には男性で約8年、女性で約12年の差があります。
この「平均寿命と健康寿命の差」の期間は、医療や介護が必要となる可能性が高く、老後の暮らしに備えた「お金の準備」がますます大切になってくることが分かります。
こうした背景を踏まえると、現役時代からの貯蓄や資産形成は、70歳以降の暮らしの安心感に直結するものと言えそうです。
※1 平均寿命:2022年 男性81.05歳、女性87.09歳・2023年 男性81.09歳・87.14歳(「令和5年簡易生命表の概況」)
※2 健康寿命:2022年 男性72.57歳、女性75.45歳(「健康寿命の令和4年値について」)