今日から9月。今月も多くの飲食料品が値上がりしています。

またか…と思ってしまいますが、心配なのが値上げの常態化。これまでの物価高騰は、原油価格の急騰や円安などの外的要因に起こる”一時的”なもの主でした。しかし、原材料費の高騰に加え、物流費や人件費など継続的なコスト増となっています。

政府はこれまでに複数回、物価高対策として給付金を支給したり期間限定で電気・ガス代料金の補助を行うなどの対策を講じてきましたが、経済情勢の変化に合わせた持続性のある対策が求められます。

さて、国や自治体ではかねてから給付金や手当、補助金といった形でさまざまなサポート制度を設けているのはご存じでしょうか。

本記事では、このなかから60歳以上または65歳以上が対象となるシニア向けの「申請しないともらえない」お金を5つ厳選してご紹介します。年金関連・雇用保険関連に分けて、見ていきましょう。

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1. 【申請しないともらえない】「年金に関連する」国からもらえるお金 2つ

老齢年金を受給しているシニアが条件を満たすと、通常の老齢年金に加えて受け取れるお金が2種類あります。

1.1 年金関連1:加給年金

「加給年金」は、「年金版の扶養手当(家族手当)」とも言われる制度で、老齢厚生年金を受給している人が年下の配偶者や子どもを扶養している場合に、一定の要件を満たせば年金に上乗せして支給されます。

加給年金《支給要件》

  • 厚生年金加入期間が20年(※)以上ある人:65歳到達時点(または定額部分支給開始年齢に到達した時点)
  • 65歳到達後(もしくは定額部分支給開始年齢に到達した後)に被保険者期間が20年(※)以上となった人:在職定時改定時、退職改定時(または70歳到達時)

(※)または、共済組合等の加入期間を除いた厚生年金の被保険者期間が40歳(女性と坑内員・船員は35歳)以降15年から19年

上記の条件に該当する時点で「65歳未満の配偶者」や「18歳到達年度の末日までの子、または1級・2級の障害状態にある20歳未満の子」がいる場合には、年金に加算されます。

ただし、配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間20年以上)や退職共済年金(組合員期間20年以上)の受給資格を持つ場合、あるいは障害厚生年金・障害基礎年金・障害共済年金などを受給している場合には、配偶者加給年金は支給停止となります。

加給年金《2025年度の年金額》

参考として、「加給年金」の年金額(2025年度の年額)は以下のとおりです。

  • 配偶者:23万9300円
  • 1人目・2人目の子:各23万9300円
  • 3人目以降の子:各7万9800円

老齢厚生年金を受給している人の生年月日に応じて、配偶者の加給年金額には3万5400円~17万6600円の特別加算が上乗せされます。

また、加給年金は対象となる配偶者が65歳に達すると支給が終了します。

ただし、その配偶者が老齢基礎年金を受給する際、一定の条件を満たせば「振替加算」として老齢基礎年金に加算されます。

1.2 年金関連2:老齢年金生活者支援給付金

年金生活者支援給付金は、基礎年金を受け取っている人が一定の所得要件を満たした場合に支給される制度です。

年金生活者支援給付金には、「老齢」「障害」「遺族」の3種類があり、それぞれに支給条件が設けられています。

ここでは、その中でも「老齢年金生活者支援給付金」に焦点を当てて説明していきます。

老齢年金生活者支援給付金の支給要件

  • 65歳以上の老齢基礎年金の受給者
  • 同一世帯の全員が市町村民税非課税
  • 前年の公的年金等の収入金額(※1)とその他の所得との合計額が昭和31年4月2日以後生まれの人は88万9300円以下、昭和31年4月1日以前生まれの人は88万7700円以下(※2)である。

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まれない
※2 昭和31年4月2日以後に生まれた人で78万9300円を超え88万9300円以下である人、昭和31年4月1日以前に生まれた人で78万7700円を超え88万7700円以下である人には、「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給される

老齢年金生活者支援給付金の給付基準額

2025年度の老齢年金生活者支援給付金の基準額は月額5450円となり、前年度比で2.7%引き上げられました。

この基準額をもとに、保険料の納付状況に応じて実際の給付額が計算されます(①と②の合計で算出)。

老齢年金生活者支援給付金の給付額の計算式

  • ①保険料納付済期間に基づく額(月額) = 5450円 × 保険料納付済期間 / 被保険者月数480月
  • ②保険料免除期間に基づく額(月額) = 1万1151円 × 保険料免除期間 / 被保険者月数480月

例)国民年金保険料を全期間(40年間)納付した場合、2025年度は「月額5450円=年額6万5400円」の給付金が支給されます(昭和16年4月1日生まれまでの人は計算が異なります)。

また、保険料免除期間に対応する金額は、毎年度の老齢基礎年金の改定に合わせて変動します。