4. 妻の年金にどんな影響がある?注意すべき2つの加算!
夫が年金の繰上げ受給を選ぶと、妻の年金にも影響が出ます。重要な点として、夫が会社員だった期間が20年以上ある場合に夫の年金に加算される「加給年金」(扶養している配偶者や子がいる場合に受け取れる加算)が受け取れなくなり、夫婦の年金総額が大きく減ってしまいます。また、妻が65歳以降に受け取れる「振替加算」も、加給年金の支給そのものがなくなるため受けられなくなります。
振替加算とは、夫がもらっていた加給年金が、妻が65歳になったことで夫への支給が停止された際に、妻自身の年金に振り替えられる加算のことです。これらの加算は夫婦の家計を支える大切な役割を果たすため、失われる影響は小さくありません。
一方で、夫が亡くなった場合に妻が受け取る「遺族厚生年金」については、繰上げの影響を受けません。遺族厚生年金の額は、夫の年金加入期間や報酬額に基づいて計算されるため、繰上げによって減額された年金額が基準になることはありません。
このように、繰上げは本人にとっての安心感を得る代わりに、夫婦全体で受け取れる年金額を大きく減らす可能性があるため、選択には夫婦トータルで考えることが重要です。