3. 国民健康保険料の支払いが苦しくなる理由(元公務員が解説)
国民健康保険の保険料支払いが苦しくなる理由はいくつかあります。
- 前年の所得で決まるため、今年の収入が激減すると支払えなくなる
- 会社の健康保険と比べ、事業主折半や世帯員の扶養がないため高くなるケースが多い
- 資産割(固定資産の価値に応じて計算される)が高く、収入が少ないのに実態と合わない
特に会社員を辞めて国民健康保険に加入した年は、支払いが苦しいと感じる可能性があります。
この場合は未納のまま放置するのではなく、自治体窓口への相談が重要です。対応は個別のケースによって異なりますが、下記のケースでは減免等に該当することがあります。
- 会社都合による離職(解雇や倒産など)で収入が途絶えた場合
- 災害などで生活が著しく困難になった場合
該当しない場合でも分納などに応じてくれることもあります。
では納期限内に保険料が納付されない場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。杉並区の例で見ていきましょう。
4. 国民健康保険料の延滞金とは
国民健康保険料を納期限内に納付しない場合、法令で定められた割合で計算した延滞金が加算されます。その計算の基礎となる利率は、国が定める「特例基準割合」に基づいているため、自治体にて大きな差が生じることはありません。
杉並区の例を見ていきます。
4.1 延滞金の計算式
- 納期限の翌日から3カ月を経過する日までに納付された場合
延滞金額=滞納保険料額×延滞金の割合(a)×日数÷365
- 納期限の翌日から3カ月を経過する日の翌日以降に納付された場合
延滞金額=上記1+(滞納保険料額×延滞金の割合(b)×3カ月経過後の日数÷365)
※納期限の翌日から3カ月間(a):年2.4%(延滞金特例基準割合に1%を加算した割合)
※納期限後3カ月以後(b): 年8.7%(延滞金特例基準割合に7.3%を加算した割合)
自治体によって異なるケースがありますが、納期限の翌日から一定期間(多くの自治体では3ヶ月、または1ヶ月)までは、比較的低い利率が適用されます。
支払が遅れるほどに延滞金が加算されていくため、納期限内に支払うことが大切です。
さらに特別な事情がないまま未納が続くと、貯金、生命保険、不動産等の資産調査や財産等の差押えが行われるケースもあります。