一般的に65歳から受給する老齢年金。基本的に年金から所得税や介護保険料などの各種税金や保険料が天引きされることはご存知でしょうか(※)

「令和7年度税制改正」では、天引きされるお金のうち所得税の基礎控除額が改定されています。

2025年10月の年金支給時までは「改正前の所得税額」で源泉徴収をおこない、2025年12月の年金支給時には「改正後の金額と改正前の金額の差額」が還付される予定です。

※年金からの天引きとはならないケースもあります。

このように公的年金からは基本的に税金や社会保険料が天引きされるもの。老後の生活費については、税金や社会保険料などの天引きがされた後の年金で生活することを、現役時代から考えておきたいものです。

今回は年金の仕組みや平均年金月額を確認した後、年金からの天引きについて解説します。

 

1. 公的年金の仕組み

公的年金は「2階建て構造」などと表現されます。

これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」、2階部分にあたる「厚生年金」から成り立つためです。

1.1 《1階部分》国民年金

  • 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満の全員
  • 年金保険料:全員一律、ただし年度ごとに改定あり(2025年度月額:1万7510円)
  • 受給額:保険料を40年間欠かさず納付すれば満額(2025年度月額:6万9308円)

1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入

  • 加入対象者:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※1)に働き一定要件を満たした人
  • 年金保険料:収入に応じて(上限あり)変わる(※2)
  • 受給額:加入期間や納めた保険料により個人差あり

※1 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※2 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の全員が原則加入し、一律の年金保険料を納めます。

一方で厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入し、収入に応じた年金保険料を納めるしくみです。