「自分の老後はどのような暮らしになるのだろう」と考えたとき、「年金って、結局いくらもらえるの?」という疑問が頭に浮かぶ人は多いはずです。老後の生活の大きな柱ともいえる年金ですが、実は、現役世代のキャリアや加入実績によって、受け取れる金額には驚くほどの個人差が生まれます。

例えば、最新の統計データによると、男女間には平均受給月額に約5~6万円もの差があることが明らかになっています。
年金の平均値や、算定方法などを知ることで、自分の年金額がどの位置にあたりそうなのか、また今後どのくらいを目指せそうなのかの目安にすることができます。

本記事では、厚生年金と国民年金の統計データから、現在の年金受給者の一般的な数値を明らかにしていきます。さらに、年金額の算定方法と、それを踏まえた年金額の増やし方についても解説していきます。

この記事が、皆様の老後設計の一助となれば幸いです。

1. 厚生年金の金額、みんなの平均受給額はいくら?

まずは、最新の年金データである、令和5年度末の年金受給額の実態を確認していきます。

1.1 厚生年金受給額の実態

厚生労働省による「厚生年金保険・国民年金事業統計年報」によると、老齢年金保険の年金月額階級ごとの受給権者割合と平均年金月額は、男女合計及び男女別で以下のような結果となっています。

【男女合計】

  • 5万円未満:1.9%
  • 5万円以上10万円未満:19.3%
  • 10万円以上15万円未満:31.2%
  • 15万円以上20万円未満:31.3%
  • 20万円以上25万円未満:14.6%
  • 25万円以上30万円未満:1.6%
  • 30万円以上:0.1%
  • 平均年金月額:14万6429円

【男子】

  • 5万円未満:0.6%
  • 5万円以上10万円未満:8.9%
  • 10万円以上15万円未満:23.7%
  • 15万円以上20万円未満:42.8%
  • 20万円以上25万円未満:21.4%
  • 25万円以上30万円未満:2.4%
  • 30万円以上:0.1%
  • 平均年金月額:16万6606円

【女子】

  • 5万円未満:4.3%
  • 5万円以上10万円未満:39.7%
  • 10万円以上15万円未満:45.7%
  • 15万円以上20万円未満:9.0%
  • 20万円以上25万円未満:1.2%
  • 25万円以上30万円未満:0.1%
  • 30万円以上:0%
  • 平均年金月額:10万7200円

1.2 「平均年金月額」とは

上記の結果を見ると、年金の平均受給額は全体で月額約14万6000円ですが、内訳を見ると男性が約16万6000円、女性が約10万7000円と、男女間に大きな差があるのが現状です。

この差が生まれる背景には、年金額の算定方法が関係しています。年金額は、主に現役時代の社会保険への加入期間と、その間の報酬額によって決まります。

女性は出産や育児を機に離職したり、働き方を変えたりすることで、男性に比べて加入期間が短くなり、生涯の報酬額が低くなる傾向があります。このことが、将来受け取る年金額の差に直接つながっているのです。

このように、年金額の「平均」を見る際には、男女間で大きな差が存在することを念頭に置くことが大切です。

しかし、近年は男性の育児休業取得が奨励され、育休後もキャリアを継続する女性や管理職として活躍する女性も増えつつあります。こうした社会の変化に伴い、将来的にはこの男女間の格差も少しずつ縮まっていくことが期待されます。