4. 確実な老後対策は「黒字家計を維持すること」

老後資金の正確な算出が困難である以上、最も現実的で確実な対策は、現在の家計を黒字に保ち続けることです。

黒字家計とは、収入が支出を上回る状態を意味し、この習慣こそが老後の安心につながる最も重要な要素となります。

家計管理(収入と支出のバランス)

家計管理(収入と支出のバランス)

出所:J-FLEC 金融経済教育推進機構「生活設計・家計管理」

黒字家計を維持することで得られる最大のメリットは、柔軟性と対応力です。収入の変化や予期せぬ支出にも対応でき、さらに無駄な支出を見直して本当に必要なものと不要なものを区別する習慣が養われます。

年金だけで老後生活をまかない、預貯金は娯楽費や医療費・介護費への備えとしてプールできれば、老後においても健全な家計運営ができるでしょう。

重要なのは、老後資金を「一度に大きく準備するもの」ではなく、「日々の積み重ねで築き上げるもの」として捉えることです。

黒字家計の習慣は、年金収入の範囲内で生活する能力や、必要に応じて支出を調整する柔軟性を身につけることにもつながります。

5. まとめにかえて

老後資金準備において重要なのは、具体的な金額目標よりも黒字家計を維持する習慣の確立です。

この習慣により収入変化や予期せぬ支出への対応力、無駄な支出の見直し能力が身につき、老後においても健全な家計運営が可能になります。

理想的には年金収入の範囲内で生活し、預貯金は娯楽費や医療・介護費への備えとしてプールしましょう。

収入内での生活能力や支出調整の柔軟性を身につければ、どのような状況でも黒字を維持できるリテラシーを習得できるはずです。

参考資料

柴田 充輝