4. 確実な老後対策は「黒字家計を維持すること」
老後資金の正確な算出が困難である以上、最も現実的で確実な対策は、現在の家計を黒字に保ち続けることです。
黒字家計とは、収入が支出を上回る状態を意味し、この習慣こそが老後の安心につながる最も重要な要素となります。
黒字家計を維持することで得られる最大のメリットは、柔軟性と対応力です。収入の変化や予期せぬ支出にも対応でき、さらに無駄な支出を見直して本当に必要なものと不要なものを区別する習慣が養われます。
年金だけで老後生活をまかない、預貯金は娯楽費や医療費・介護費への備えとしてプールできれば、老後においても健全な家計運営ができるでしょう。
重要なのは、老後資金を「一度に大きく準備するもの」ではなく、「日々の積み重ねで築き上げるもの」として捉えることです。
黒字家計の習慣は、年金収入の範囲内で生活する能力や、必要に応じて支出を調整する柔軟性を身につけることにもつながります。
5. まとめにかえて
老後資金準備において重要なのは、具体的な金額目標よりも黒字家計を維持する習慣の確立です。
この習慣により収入変化や予期せぬ支出への対応力、無駄な支出の見直し能力が身につき、老後においても健全な家計運営が可能になります。
理想的には年金収入の範囲内で生活し、預貯金は娯楽費や医療・介護費への備えとしてプールしましょう。
収入内での生活能力や支出調整の柔軟性を身につければ、どのような状況でも黒字を維持できるリテラシーを習得できるはずです。
参考資料
柴田 充輝
執筆者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1000記事以上の執筆実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。
監修者
マネー編集部社会保障班は株式会社モニクルリサーチが運営する『くらしとお金の経済メディア ~LIMO(リーモ)~』において、厚生労働省や官公庁の公開情報等をもとに社会保障制度や社会福祉、公的扶助、保険医療などをテーマに関する記事を執筆・編集・公開している。
マネー編集部社会保障班は、地方自治体職員出身の太田彩子、日本生命保険相互会社出身の村岸理美、株式会社三菱UFJ銀行と三井住友信託銀行株式会社出身の和田直子など、豊富な経験と知識を有した編集者で構成されている。表彰歴多数の編集者も複数在籍。「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」「福祉医療」等の業務や、国民健康保険料の賦課、保険料徴収、高額療養費制度などの給付、国民年金や国民健康保険への資格切り替え、補助金申請等の業務を担った実務経験者も在籍している。
CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級)、一種外務員資格(証券外務員一種)などの資格保有者も多数在籍。(最新更新日:2025年8月26日)