3. 生活保護費の算出方法は?

生活保護の可否は、厚生労働省が定める保護基準額(最低生活費)と世帯収入を比較して、保護基準額に収入が満たない場合に支給されます。収入が保護基準額を超える場合、生活保護は受けられません。

支給される保護費のイメージ

支給される保護費のイメージ

出所:厚生労働省「『生活保護制度』に関するQ&A」

ここでいう「収入」とは、世帯のすべての給与・賞与などの勤労収入、農業や自営業の収入、年金、仕送り、贈与、不動産収入、手当、財産売却益、保険金、その他の臨時収入などのことです。

勤労収入については、収入から税金や社会保険料、通勤費などの必要経費が引かれ、収入額に応じた基礎控除等が適用されます。控除額分は収入とは見なされません。

【具体的な算出方法】

下記の➀、②、③、④、⑤、⑥を足した額が最低生活費認定額となります。

➀生活扶助基準 ※今回の1500円の特例は、こちらに加算
②加算額(障害者加算・母子加算・児童養育の加算)※該当者がいるときだけ加算
③住宅扶助基準
④教育扶助基準・高等学校等就学費
⑤介護扶助基準
⑥医療扶助基準

➀~④は、住んでいる地域や世帯構成、世帯員の年齢などによって金額が異なります。また、④に関しては、必要に応じて教材費やクラブ活動費などの実費も計上されます。

さらに上記以外にも加算があり、例えば、出産や葬祭があれば、これらの経費の一定額も加算されます。

参考までに厚生労働省の資料「生活保護制度の概要等について」より、最低生活保障水準の具体例(令和7年4月現在)を掲載しておきます。

最低生活保障水準の具体的事例(令和7年4月)

最低生活保障水準の具体的事例(令和7年4月)

出所:厚生労働省「生活保護制度の概要等について」

4. まとめにかえて

今回の記事では、今回の生活扶助基準の見直しの内容などについて、生活保護制度の概要と合わせて解説しました。

2025年10月からの1500円加算は、物価高や生活コスト増加への対応として行われるものです。前年度まで続いた加算が今後も2年間続くことで、保護を受けている世帯にとって家計の一助となるでしょう。

生活保護は、生活困窮時に最低限度の生活を保障する最後のセーフティネット。国民一人ひとりが制度の概要を把握しておくことが、私たち自身の将来の安心につながります。

参考資料