【老後資金はいくら必要？】貯蓄2000万円以上保有は70歳代で3割弱！約65歳以上の夫婦世帯の暮らしは毎月赤字？老後資金に欠かせない厚生年金「いまどきシニアは平均でいくらもらえる？」

4. 【老後資金を考える④】65歳以上・夫婦世帯の暮らしは毎月赤字？

総務省統計局「家計調査報告家計収支編 2024年(令和6年)平均結果の概要」から、「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の標準的な家計収支を見ていきます。

■うち社会保障給付（主に年金）：22万5182円

■うち消費支出：25万6521円

■うち非消費支出：3万356円

この世帯の場合、毎月の収入は25万2818円。その大部分が公的年金などの社会保障給付金です。

一方、支出の合計は28万6877円。内訳を見てみると、食費や住居費、光熱費など日々の生活費である消費支出は25万6521円で、税金や社会保険料などの非消費支出は3万356円です。

ここで注目すべきは、エンゲル係数です。29.8％とやや高めかもしれません。

エンゲル係数とは、家計の消費支出に占める食費の割合を示すもので、一般的にこの数値が高いほど生活水準が低い傾向にあるとされています。65歳以上の夫婦の場合、生活費の中で食費が比較的大きな割合を占めていることがわかります。

さらに、平均消費性向が115.3％と100％を超えています。収入に対して支出が多い状態、つまり赤字になっているのです。

具体的には毎月3万4058円の赤字が発生しているため、これまで蓄えてきた貯蓄を取り崩すことで不足分をまかなっていくことになります。

シニア世代は安定した収入が見込みにくいため、毎月の赤字は長期的に大きく貯蓄を目減りさせてしまいます。

いまの貯蓄額に応じ、支出の見直しや、短時間勤務による収入確保などを、可能な範囲でおこなっていくことが大切です。

今回は、シニア世代のお金事情についてみてきました。老後を迎えても働き続けるという人は増えています。できるだけ長く働き続け、年金に加えて給与収入を得て生活していくというのが今後主流になるかもしれませんね。

しかしながら、働きたくても働けない状況になってしまう可能性についても考えておく必要があります。年齢を重ねていくにつれ、一般的に病気や介護のリスクは高まっていきますので、思いがけず働けない状況になってしまった場合に困ることのないよう、貯蓄や保障の準備をしておくことが重要です。

貯金や資産運用などでコツコツ資産形成をしたり、民間の生命保険に加入して、いざという時の保障を持つなど様々な手段があります。今できることから取り組み、老後困らないよう対策をしていきましょう。

矢武ひかる