夏の疲れが出やすいこの時期、ふと将来の生活資金について思いを巡らせる方もいるかもしれません。
とくに、老後の生活を支える年金は、漠然とした不安の種になることもあります。
ご自身の老後がどうなるのか、気になるのは当然のことでしょう。
日本の年金制度は「国民年金」と「厚生年金」という、比較的シンプルな2階建て構造が基本です。
この記事では、国民年金と厚生年金の仕組みを改めておさらいし、厚生労働省年金局の最新データにもとづき、60歳~90歳以上の「年金月額の平均」について解説します。
《年金一覧表》をもとに5歳刻みで見ていきますので、ぜひ参考にしてください。
1. 【年金のキホンをおさらい】日本の公的年金制度は「2階建て構造」
日本の公的年金制度は「2階建て構造」と呼ばれています。
これは、基礎部分となる「国民年金」と、その上に加わる「厚生年金」で成り立っているためです。
では、この国民年金と厚生年金の仕組みについて具体的に確認していきましょう。
1.1 1階部分:国民年金の基本概要をおさらい
- 加入対象:原則として日本国内に住む20歳以上から60歳未満の全ての人
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:40年間納付すると65歳以降に満額(※2)を受給できる
※1 国民年金保険料の月額:2025年度 1万7510円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の月額:2025年度 6万9308円
1.2 2階部分:厚生年金の基本概要をおさらい
- 加入対象:会社員や公務員、一定要件を満たすパート・アルバイトの人が国民年金に上乗せして加入
- 年金保険料:報酬(賞与・給与)に応じて計算される(上限額あり※3)
- 老後の受給額:国民年金に上乗せして受給。厚生年金部分は年金加入期間や納付済保険料により個人差が出る。
※3 保険料額は標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算されます。
厚生年金(2階部分)に加入している人は、同時に国民年金(1階部分)にも加入していることになります。
どの年金に加入しているかは将来の受給額に直結し、国民年金のみの人よりも、厚生年金も併せて加入している人の方が受け取れる額は多くなります。
また、近年では公的年金だけでは老後が心もとないと考える人が増えており、「個人年金保険」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった私的年金(3階部分)を備えるケースも目立っています。
次章では、実際にシニア世代が受け取っている平均的な年金額について見ていきましょう。