近年、日本人の健康寿命は着実に伸び続ける中、リタイア後の生活設計はあらゆる世帯で必要不可欠となっています。

内閣府の最新調査では、60歳以上の実に92.6%が経済的な不安を抱えているという結果が出ています。その原因のトップは「物価上昇(74.5%)」、次いで「収入や貯蓄の少なさ(47.1%)」です。

経済的な不安を解消するためには、まずは現在の高齢世帯の現状を知ることが大切です。

そこで本記事では、65歳以上世帯における貯蓄状況や日々の生活費を分析しながら、高齢世帯の「平均」について探っていきます。ぜひご自身の未来と照らし合わせながら、読み進めてみてください。

1. 高齢世帯の「貯蓄額」の実態〜貯蓄4000万円以上は何割か〜

まずは、世帯主が65歳以上の二人以上世帯がどれくらいの貯蓄を持っているのか、総務省による「家計調査報告(貯蓄・負債編)」のデータをもとに見ていきましょう。

  • 100万円未満:8.1%
  • 100万円以上1400万円未満:37.8%
  • 1400万円以上1600万円未満:5.1%
  • 1600万円以上1800万円未満:3.3%
  • 1800万円以上2000万円未満:3.3%
  • 2000万円以上2500万円未満:7.4%
  • 2500万円以上3000万円未満:5.8%
  • 3000万円以上4000万円未満:9.4%
  • 4000万円以上:20.0%

【中央値:1658万円】
【平均値:2509万円】

※ここで言う中央値とは、金融資産非保有(貯蓄現在高が「0円」)の世帯を除いた世帯を、貯蓄現在高の低い方から順番に並べたときに、ちょうど中央に位置する世帯の貯蓄現在高を指します。

統計では、世帯主が65歳以上の二人以上世帯のうち、5世帯に1世帯は4000万円以上の貯蓄があるという結果が出ました。 平均貯蓄額も約2500万円と、以前話題になった「老後2000万円問題」の金額を大きく上回っています。

これだけ見ると、多くの世帯で老後の備えは十分なようにも思えます。しかし、それでも多くの人が老後に「経済的な不安」を感じているのでしょうか。

生活費と収入の実態を確認した上で、その点についても考えてみましょう。