4. 生活保護には「夏季加算」がない
地球温暖化の影響などにより熱中症被害が拡大する中、エアコン代や冷房代(電気代)などに対する生活保護の加算はあるのでしょうか。
夏季加算を求める声もありますが、現時点では「冬季加算」はあるが「夏季加算」はありません。
厚生労働省の見解と地方自治体の対応について解説します。
4.1 厚生労働省の見解
生活保護世帯のエアコン購入費用について、厚生労働省から地方自治体へは次の通り事務連絡(通達)が行われています。
- 生活保護制度においては、エアコンも含め日常生活に必要な生活用品については、保護費のやりくりによって計画的に購入していただく
- 保護費のやり繰りにで購入困難なときは、生活福祉資金貸付を活用して購入していただくことも可能
ただし、特別な事情がある場合に限り、一定の範囲内において、エアコンの購入費用を支給することを可能としています。可能というのは、実施機関である地方自治体の判断次第ということです。
4.2 地方自治体の助成
地方自治体によっては、前述の厚生労働省の事務連絡に基づいてエアコン購入に対する助成が行われています。
- 東京都練馬区:上限額11万1000円(エアコン本体は7万3000円、設置工事3万8000円)
- 東京都中央区:上限額10万円(エアコン本体6万7000円、設置工事3万3000円)
- 名古屋市:上限額9万2000円(設置工事費用を含む) など
地方自治体によって対象者の条件や助成金額、受付期間などが異なりますので、居住地の地方自治体ホームページなどで確認しましょう。
5. まとめにかえて
生活保護は、生活費などの種類に応じて8つの扶助があります。また、母子家庭や障害者など、特別な事情がある世帯に対しては加算もあります。
生活保護世帯には、支給要件に該当する扶助や加算の合計金額が支給されます。
また、生活保護には冬季加算はありますが、夏季加算はありません。猛暑が続く中、エアコンの設置費用助成を求める声もありますが、「保護費のやりくりによって計画的に購入していただく」というのが厚生労働省の見解です。
ただし、エアコン購入費用などに対して助成を行う地方自治体もあるため、居住地の地方自治体ホームページなどで確認しましょう。
参考資料
西岡 秀泰