「個人の力ではどうにもならない原因」と、「おもに自分のせい」、「場合による」という3つの選択肢が設けられていますが、アメリカとイギリスでは「個人の力ではどうにもならない原因」、つまり社会の側を原因とする回答が多数派となっています。
対して、日本では「おもに自分のせい」との回答が44%と最も高くなっており、アメリカの11%、イギリスの23%を大幅に超えていました。
日本で「孤独は自己責任」が多い理由は?
かつて日本では、ほとんどの男女が結婚し、多くの男性が会社組織に正社員として所属して生活をしていました。
家庭と職場、そして地域社会が孤独のセーフティネットとしての役割を果たしていましたが、非正規化や晩婚化が進み、以前のように機能しなくなっています。
場合によっては非婚、未婚、離婚などを通じて、「伝統的な家族」を形成しないことを身近な人から責められる風潮も見受けられます。
また、表向きには結婚や仕事選びが「個人の選択の自由」とされながらも、実際には一度選択した道を容易に変更できない不自由さがあることも否定できません。
家族に頼らずとも、職場に頼らずとも「人とつながっている」と感じられる第3の場所の不足も深刻です。このようなことから、孤独は「個人の力ではどうにもならない原因」が大きく絡んでいると言えるのではないでしょうか。
おわりに
昨年10月末のハロウィン期、外から見ると異常ともいえる騒ぎが渋谷で起こりました。精神分析者であるフロムは、人間が孤独を癒す方法のひとつとして「祝祭的興奮状態」をあげています。地縁が薄れ、血縁が薄れ、地域に根差した祭りが地域外の人に「消費されるもの」と変化する中で、あのハロウィンの騒ぎは、現代の孤独が投影された「祝祭的興奮状態」だったのかもしれません。
【参考】
Loneliness and Social Isolation in the United States, the United Kingdom, and Japan:
An International Survey(カイザーファミリー財団)
北川 和子