2.2 健康保険の加入の仕方

在職中は会社の健康保険に加入しますが、退職するとその翌日から健康保険が適用されなくなります。健康保険に加入しないと医療費が全額自己負担となり、支出が大幅に増えてしまいます。そうならないためにも、健康保険は途切れる期間なく加入しなければなりません。

健康保険の選択肢としては、以下の3つがあります。

  1. 会社の健康保険を任意継続する
  2. 国民健康保険に加入する
  3. 家族の扶養に入る

保険料の自己負担をなくすには、家族の扶養に入るとよいでしょう。配偶者だけでなく、子どもや孫の扶養に入ることも選択肢になり得ます。現役世代である子どもや孫の扶養に入れば、自身は保険料負担がなくなり、扶養する人は「扶養控除」により節税が可能です。

面倒な手続きをしたくない場合は、会社の健康保険を任意継続することを検討しましょう。任意継続は、これまで加入していた会社の健康保険を最長で2年間継続する制度です。

退職前に扶養していた家族も引き続き継続対象になるため、専業主婦の配偶者がいる人などは任意継続を検討するとよいです。ただし、保険料はこれまでの2倍になるため、支出は増えてしまいます。

扶養に入らない、任意継続をしない、といった人は、基本的に国民健康保険に加入します。基本的には、市町村が運営する「市町村国保」に加入することになるでしょう。

保険料は前年の所得にもとづき計算されるため、退職翌年の保険料は高くなる傾向にあります。また、扶養の概念がないため、家族一人ひとり保険料がかかり、世帯としての支出が増える点にも注意が必要です。

2.3 雇用保険の申請

退職した後に再就職を目指す際は、雇用保険の基本手当(失業給付)や高年齢求職者給付金を受け取るのが一般的です。失業給付は65歳未満の人が受け取り、高年齢求職者給付金は65歳以上の人が受け取るものです。

より多くの金額を受け取るのであれば、65歳になるよりも前に退職して失業給付を受け取るとよいでしょう。

失業給付、高年齢求職者給付金は、どちらも以下の計算で1日あたりの給付額を算出します。

  • 離職前6ヵ月の賃金合計/180×給付率(50〜80%)
    ※60〜64歳は給付率が45〜80%。

しかし、給付を受け取れる日数は、それぞれ異なるのです。(詳細以下画像)

失業給付は90日〜150日まで給付が受けられますが、高年齢求職者給付金は30日分もしくは50日分の給付となります。失業保険のほうが給付を受け取れる期間が長い分、より多くの給付を受け取れる可能性があるのです。

65歳より前に退職する際は、退職金に影響がないか確認しておきましょう。とくに65歳定年の場合は、定年退職と早期退職で退職金が異なるケースがあります。

また、65歳未満で年金を受給している人が失業給付を受け取る場合、年金支給が停止されます。65歳から年金を受け取るのであれば給付と年金を両方受け取れるため、年金の受給タイミングには注意しましょう。

3. まとめ

定年退職すると、退職金の受け取りや社会保険への再加入などさまざまな手続きをする必要があります。損しない受け取り方・加入の仕方を意識することで、老後の迎え方も変わるでしょう。安心してセカンドライフを迎えられるよう、賢い選択をして少しでも手元に残るお金を増やしましょう。

参考資料

石上 ユウキ