では、お勤めの会社が倒産する場合はどうでしょう。倒産せずともリストラであるとか、不本意な仕事を命じられる、嫌な上司に当たるなど、「これまでの仕事を働き続けられなくなる」事態が起こる可能性は常にあります。その場合は、現預金や保険は何の役にも立ちません

この種類のリスクに対しては、転職や起業をしても通用する実力や人脈を持っておくか、副業や不動産投資などで収入を複線化しておくなどの対策が有効になります。つまり、人生には種類の違うリスクがあるので、資産運用のリスクだけを考えれば良いというものではない、ということです。

国家破綻のリスクを考える

次に、日本が破綻するリスクはどうでしょう。「そんな、空が落ちてくるような話をする意味が無い」と思われる方も多いと思いますが、過去、国家は実際に破綻していますし、日本の国債は1千兆円を超え、過去例のないところにまで膨れあがっています。もはや、通常の税収の中から返済することは不可能と思える水準です。

実質的に返せないとなると何が起こるか。債務不履行(デフォルト)、までは行かないかもしれません。しかし、通貨・国家が信認を失い、それなりのスピードでインフレが起きる(起こす)ことは十分に考えられます。インフレが起こるとお金の価値が下がりますから、借金が減るのと同じ効果があるのです。

インフレとはつまり、少し前までラーメン1杯500円だったのが、1杯1万円になるわけです。国債は変わらず千兆円でも、負担はラーメン換算で20分の1になるわけですね。日本円の価値が下がるわけですから、その場合にはドルとかユーロなど、外貨を持っていればその分はリスクを回避することができます

他にも、不動産や株にしておくと、それらはラーメンと同じように値段が上がりますからリスクヘッジになります。金やプラチナでも良いでしょう。現預金だけがインフレの影響をまともに受けて、大損してしまうわけです。私たちはすっかりデフレに慣れてしまいましたが、インフレの怖さも知っておかなくてはなりません。

種類の違うリスクを組み合わせる

このように、投資の失敗によって元本が減ってしまうこと以外の様々なリスクが、人生には溢れています。ある種類のリスク(例えば株や不動産)を取ることで、他のリスク(例えばインフレ)が減るということがありますから、「リスクとリスクをぶつけて全体のリスクを減らす」という発想を持つべきです。

あらゆるリスクに対応できる資産運用方法は、残念ながらありません。現預金も安全ではないということは、知っておいて下さい。自ら勉強をして、人生の様々なリスクについて知識を得て、その上で自分の頭で考えること。それが最大にして唯一のリスクヘッジなのかもしれませんね。

それでは、また。フラスコ代表、安田でした。

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制作:NP・UX推進室

安田 修