2025年7月4日、厚生労働省は「2024(令和6)年 国民生活基礎調査の概況」を公表しました。
同調査によると、高齢者世帯(※)全体の平均的な所得構成では、収入の63.5%を「公的年金・恩給」が占めています。
しかし、これはあくまで全体の平均値。これを「公的年金・恩給を受給している世帯」に限ると、収入のすべてが「公的年金・恩給」となる世帯は43.4%にのぼります。
シニア全体で見れば稼働所得なども一定の割合を占めるものの、年金受給世帯の半数近くが公的年金収入のみに頼って生活しているということです。
このように、多くのシニア世代にとって、公的年金は生活の基盤です。今回は、一般的な老齢年金世代となる65歳以上世帯」の家計収支や貯蓄のデータを、一次資料をもとに見ていきます。
※高齢者世帯:65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の者が加わった世帯
1. 【老齢年金世帯】リタイア夫婦の生活費「ひと月いくら?」気になるエンゲル係数も確認
総務省「家計調査報告〔家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要」から、65歳以上の無職夫婦世帯の平均的な家計収支を見ていきます。
1.1 【家計収支】65歳以上の夫婦のみの無職世帯(2024年)
収入:25万2818円
■うち社会保障給付(主に年金)22万5182円
支出:28万6877円
■うち消費支出:25万6521円
- 食料:7万6352円
- 住居:1万6432円
- 光熱・水道:2万1919円
- 家具・家事用品:1万2265円
- 被服及び履物:5590円
- 保健医療:1万8383円
- 交通・通信:2万7768円
- 教育:0円
- 教養娯楽:2万5377円
- その他の消費支出:5万2433円
- うち諸雑費:2万2125円
- うち交際費:2万3888円
- うち仕送り金:1040円
■うち非消費支出:3万356円
- 直接税:1万1162円
- 社会保険料:1万9171円
家計収支
- ひと月の赤字:3万4058円
- エンゲル係数:29.8%
- 平均消費性向:115.3%
この夫婦世帯の家計は、総収入25万2818円に対し、総支出が28万6877円と上回っており、毎月3万4058円の赤字が生じています。
収入の約9割を公的年金などの社会保障給付(22万5182円)が占めていますが、可処分所得のすべてを生活費に充てても足りない状況です(平均消費性向115.3%)。
そのため、不足分は貯蓄を取り崩してカバーしているのが実情です。