総務省統計局の「家計調査」(2017年)で「世帯属性別の会計収支(2人以上の世帯)」を世帯主の年齢別に見ると、60~69歳の世帯は1か月平均29万0084円,70歳以上の世帯は同23万4628円となっています。

65歳の人の計算をするために、出ていくお金を総務省の家計調査、入ってくるお金を先ほど記した厚労省のモデル世帯の年金で考えると、その差は22万1277円(年金額)-29万0084円(支出額)=▲6万8807円と、毎月7万円ほどの赤字になります。

先ほどと同様に85歳まで20年生きるとしたら、赤字額の総計は6万8807円×12カ月×20年で約1650万円です。

一方、生活保険文化センターの「生活保障に関する調査」(2016年度)では、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費の平均額が月額22.0万円であるのに対し、「ゆとりある老後生活費」は月額で平均34.9万円となっています。

ただ、老後の月々の生活費にどの程度の額を想定するかは人それぞれです。そのため、自分が理想とする老後の生活を思い描き、それにはどのくらいのお金が必要かを考え、自分がもらえる見込みの公的年金額との差額で、これから貯めるべき老後資金の額を見積もってはいかがでしょうか。

必要額の予想がつかない…と悩む場合は、今の1カ月の生活費をベースにして20年間の総額を、もし90歳まで生きると仮定すれば25年間の総額を出してみてもいいでしょう。ただし、ある程度の余裕をみて想定額を出しておくほうが無難です。

長い目で見て計画的に貯めよう

老後資産の形成には様々なサポートがあります。代表的なのが節税効果が高いiDeCoです。

自分でつくる年金とも言われる個人型確定拠出年金のiDeCoでは、掛金を拠出するとき、運用益が出たとき、受け取るときの3段階で節税効果の恩恵を受けられます。

たとえば、年収500万円の30歳の人が毎月3万円、60歳になるまで積み立て続けると30年間の節税額は216万円になります(参考:iDeCo公式サイト – かんたん税制優遇シミュレーション)。

iDeCoのもうひとつの特徴として、60歳になるまで原則お金を引き出すことができないということがあります。そのため確実に老後のためのお金が貯められるというわけです。

ちなみに、金融庁の資産運用シミュレーションで計算してみると、想定利回り(年率)3%、毎月の積立金額5万円という条件で30年間積み立てつづけると、最終積立金額は29,136,844円となります。

また、今はゼロ金利時代なのでもったいない気もしますが、元本確保型商品として預金や保険という選択肢もあります。

まとめ

老後資金は長期にわたって貯めていくものです。早いうちからその目安を把握して貯蓄を始めることで安心感も生まれてくるでしょう。iDeCoなどの制度も活用して、計画的に老後資金を貯めていきましょう。

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LIMO編集部