1000万円? 1億円? 老後の生活資金は本当のところいくら必要なのか

定年後も働かないと足りない!?

人生100年時代に心配なのは老後の生活費

「人生100年時代」と言われます。厚生労働省が公表したデータによれば、2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳となっています。女性は4年連続、男性は5年連続過去最高を更新しています。

「男性の平均は約81歳、100歳まで20年も差があるじゃないか」と思うかもしれません。注意すべきは、平均寿命とは、その年に生まれた赤ちゃんがどれぐらい生きるかという平均です。

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なので、今、60歳の男性であれば、平均寿命よりも長く生きる可能性が高いのです。この男性が90歳まで生きるとすればあと30年もあります。心配なのはその間の生活費です。

老後の資金がどれくらい必要かについて、さまざまなメディアが試算をしています。3000万円必要としているものもあれば、中には1億円要ると書いてあるものもあります。一方で、1000万円あれば十分といった記事も見かけます。本当のところはどうなのでしょうか。

出て行くお金と入ってくるお金の計算の根拠は?

老後に必要な資金の計算のためにまずやらなければならないことは、出て行くお金がいくらで、入ってくるお金がいくらかを考えることです。

出ていくお金の根拠として使われるデータがいくつかあります。その一つが、総務省統計局の「家計調査」です。2017年の家計調査のうち、「世帯属性別の会計収支(2人以上の世帯)」を世帯主の年齢別に見ると、60~69歳の世帯は1か月平均29万0084円,70歳以上の世帯は同23万4628円となっています。

入ってくるお金が年金だけだとしましょう。厚生労働省が発表しているモデル世帯(夫は平均賃金で40年勤務、妻はその間専業主婦)の場合、2018年度の年金額は1か月22万1277円となっています。

ちなみに、出て行くお金の根拠として、生活保険文化センターの「生活保障に関する調査」のデータが使われることもあります。

同調査(2016年度)によれば、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費の平均額は月額で22.0万円となっている一方で、「ゆとりある老後生活費」は月額で平均34.9万円となっています。「ゆとり」とは、旅行やレジャー、身内との付き合い、趣味や教養、日常生活費の充実などと答える人が多いようです。

65歳の人の計算をするために、出ていくお金を総務省の家計調査、入ってくるお金を厚労省のモデル世帯の年金で考えると、その差は

22万1277円-29万0084円=▲6万8807円

となります。毎月6万8807円の赤字というわけです。今、65歳の世帯主(夫)が90歳まで生きるとすると、あと25年です。その間の赤字は、

6万8807円×12×25=2064万2100円

となります。

できるだけ長く働き続けることも一つの方法

「老後の資金は○○○○万円必要」という解は、前述したような支出と収入の差で計算できるわけです。支出のデータに、「ゆとりある老後生活費」の月額平均34.9万円のほうを使うと月間の赤字は月額約12万7000円と大きくなります。90歳まで生きた場合の赤字の総額も、3830万円あまりになります。

ただ、いずれにしても、1億円などのような、手の届かない額ではありません。さらに、毎月6万数千円の赤字であれば、夫婦2人でアルバイトをするだけでもそれくらいは稼げるかもしれません。

ちなみに、65歳の人が働いている場合、月収+年金月額の合計が46万円を超えなければ、年金の減額はありません(厚生年金に加入した場合)。

極論すれば、一生現役で働けるなら老後資金の心配は要りません。ただし、公的年金は毎年見直されますし、病気やケガなどで働けなくなったときの備えも必要です。余裕はあるにこしたことはありません。そのためにも、できるだけ若い時から老後の資金作りを考えておきたいところです。

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