8. 年収106万円の壁、ついに撤廃へ。年金制度改正で「暮らしと仕事」はどう変わる?
2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。
今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。
8.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》
社会保険の加入対象の拡大
- 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)
在職老齢年金の見直し
- 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)
遺族年金の見直し
- 遺族厚生年金の男女差を解消
- 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ
私的年金制度
- iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
- 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
- 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)
こうした内容からも、公的年金制度は現役世代の働き方やライフプランと深い関わりを持っていることが分かります。
9. まとめにかえて
今回の記事では、日本の年金制度の基本構造から、2025年度の年金額改定、さらには年齢別・性別の平均受給額、そして最新の年金制度改正法の内容まで、公的年金について「今知っておきたい情報」を整理してご紹介しました。
年金の仕組みはやや複雑で分かりにくいと感じるかもしれませんが、現役時代から理解を深めることで、そのメリットを最大限に生かすことにもつながります。
例えば、繰上げ・繰下げ受給や付加保険料の納付など、知っておくと選択肢が広がる制度もあります。
現役時代の働き方や年金への加入状況が、将来受け取る年金額に影響を与える点は大切なポイントです。また、年金制度は今回の改正のように、働き方やライフスタイルに合わせて見直しが進められています。
そのため、ご自身の年金記録を確認したり、将来の年金額をシミュレーションしてみたりと、積極的に情報を得て行動することが大切です。
早い段階から老後の生活資金について考え、計画的に資産形成を進めることで、より安心してセカンドライフを送る準備ができるでしょう。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構 年金用語集「た行 特定事業所」
- 日本年金機構「厚生年金の保険料」
- 厚生労働省「令和7年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
マネー編集部年金班