2. 国民年金のみで月額10万円を受給する方法
自営業者の方は、厚生年金を受給できないため、国民年金のみの受給となります。2025年度において、受給できる国民年金の満額は「月額6万9308円」です。
公的年金には繰下げ受給の仕組みがあり、繰下げ1カ月ごとに0.7%が増額されます。たとえば、国民年金保険料を40年間満額で納め、さらに5年4カ月以上繰下げれば、年金月額が10万円を超えます(支給額ベース)。
繰下げ受給は長生きリスクに備えるうえで有効な手段ではありますが、繰り下げている期間中は、年金を受給できません。そのため、できるだけ長く働いて収入を得たり、取り崩して生活するための資産を築くことが欠かせません。
3. 厚生年金を10万円以上受給している人の割合
厚生年金を受給しているすべての人が、月額10万円以上というわけではありません。厚生労働省の資料を参考に、受給額ごとの受給者数を見てみましょう。
- 1万円未満:4万4420人
- 1万円以上~2万円未満:1万4367人
- 2万円以上~3万円未満:5万231人
- 3万円以上~4万円未満:9万2746人
- 4万円以上~5万円未満:9万8464人
- 5万円以上~6万円未満:13万6190人
- 6万円以上~7万円未満:37万5940人
- 7万円以上~8万円未満:63万7624人
- 8万円以上~9万円未満:87万3828人
- 9万円以上~10万円未満:107万9767人
- 10万円以上~11万円未満:112万6181人
- 11万円以上~12万円未満:105万4333人
- 12万円以上~13万円未満:95万7855人
- 13万円以上~14万円未満:92万3629人
- 14万円以上~15万円未満:94万5907人
- 15万円以上~16万円未満:98万6257人
- 16万円以上~17万円未満:102万6399人
- 17万円以上~18万円未満:105万3851人
- 18万円以上~19万円未満:102万2699人
- 19万円以上~20万円未満:93万6884人
- 20万円以上~21万円未満:80万1770人
- 21万円以上~22万円未満:62万6732人
- 22万円以上~23万円未満:43万6137人
- 23万円以上~24万円未満:28万6572人
- 24万円以上~25万円未満:18万9132人
- 25万円以上~26万円未満:11万9942人
- 26万円以上~27万円未満:7万1648人
- 27万円以上~28万円未満:4万268人
- 28万円以上~29万円未満:2万1012人
- 29万円以上~30万円未満:9652人
- 30万円以上~:1万4292人
全体の約21.2%が、月額10万円未満となっています。厚生年金保険の加入期間が短い方は年金額が少額になるため、どのように老後生活を送るのか、慎重に考えなければなりません。
事前にどの程度の年金額を受給できるのかを確認し、できるだけ長く働いたり、計画的な資産形成を行ったりする必要があります。
4. 【まとめ】老後資金は「平均」を鵜呑みにせず対策を
公的年金の平均受給額は、国民年金で月額5万7584円、厚生年金で14万6429円です。
国民年金しか受給できない方でも、満額の国民年金を5年4カ月以上繰下げ受給すれば、月額10万円超の受給が可能になります。ただし、繰下げ期間中は年金を受給できないため、就労の継続や資産形成が必要です。
年金は老後生活を支える収入源となるため、事前の年金額の確認と適切な老後資金の準備を進めましょう。
参考資料
柴田 充輝