次の年金支給日は8月15日。「年金生活、みんなはどんな生活をしているんだろう」とふと気になる方もいるのではないでしょうか。今回は、総務省の家計調査など最新データをもとに、65歳以上の無職夫婦世帯の家計収支や平均年金額、貯蓄の実態、そして2025年に成立した年金制度改正のポイントを詳しく解説します。今回の法改正について「いつから?何が変わるのか?」ご自身の生活に照らし合わせ、これからの資金計画を見直すきっかけとしてご活用ください。

1. 【年金制度改正法の成立】法改正で「いつから、何が変わる?」

2025年6月13日、年金制度改正法が成立しました。働き方や家族構成などの多様化に合わせた年金制度の整備、私的年金制度の拡充などにより、老後の暮らしの安定や、所得保障機能の強化に繋げていくことが主な狙いです。

今回の改正の主な見直しポイントを整理していきましょう。

1.1 年金制度改正の全体像《主な見直しポイント》

社会保険の加入対象の拡大

  • 短時間労働者の加入要件(賃金要件・企業規模要件)の見直し(年収「106万円の壁」撤廃へ)

短時間労働者の社会保険加入要件のうち「賃金要件」と「企業規模要件」が撤廃され、「106万円の壁」も今後3年以内に廃止される予定です。今後10年で企業規模に関係なく社会保険に加入できる制度が拡大されます。なお、厚生年金は原則70歳までが対象で、70歳以降は任意加入となります。

在職老齢年金の見直し

  • 支給停止調整額「月62万円」へ大幅緩和(2025年度は月51万円)

遺族年金の見直し

  • 遺族厚生年金の男女差を解消
  • 子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする

保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ

  • 標準報酬月額の上限を、月65万円→75万円へ段階的に引き上げ

私的年金制度

  • iDeCo加入年齢の上限引き上げ(3年以内に実施)
  • 企業型DCの拠出限度額の拡充(3年以内に実施)
  • 企業年金の運用の見える化(5年以内に実施)

こうした内容からも、公的年金制度は現役世代の働き方やライフプランと深い関わりを持っていることが分かります。