3. 年金「月5万円」…保護費はいくら支給される?
単身世帯で年金が月5万円の場合、保護費はいくら支給されるのでしょうか。実際に試算してみましょう。
まずは、保護費の計算を確認します。支給される保護費は、地域ごとに決められている「最低生活費」から収入を差し引いた額です。
では、以下の条件で、保護費を計算してみましょう。
- 東京23区に住む単身の65歳
- 収入は年金のみで月5万円
- 賃貸物件に住んでいる
- 受ける扶助は生活扶助と住宅扶助の2つ
まずは東京23区の最低生活費を算出します。各扶助の基準額は、国内の地域を区分した「級地」によって決まります。東京23区は1級地-1であり、月あたりの扶助金額は以下のとおりです。
- 生活扶助:(4万6460円×1)+2万7790円+1000円=7万5250円(2025年10月からは7万5750円)
- 住宅扶助:5万3700円
- 合計:12万8950円(2025年10月からは12万9450円)
※詳細は以下画像
よって、最低生活費は12万8950円です。
生活保護の保護費は「最低生活費ー収入」ですから、計算結果は以下のようになります。
- 12万8950円ー5万円=7万8950円
保護費として、7万8950円が毎月支給されます。
もし持家があり、そちらに住み続けながら保護を受けることが認められた場合、住宅扶助は支給されません。この際は、最低生活費が7万5250円となるため、2万5250円が保護費として支給されます。また、年金以外に収入がある場合、収入額に応じて支給される保護費は少なくなっていきます。
なお、年金受給額が月額5万円の場合は「年金生活者支援給付金」の支給対象です。給付金の支給を受けている場合は、収入が5000〜1万円ほど増えるため、その分保護費が減少します。
4. まとめ
生活保護は、自立した生活を促すという目的を果たすために、物価や経済の状況を考慮して特例加算が500円増額されました。物価高は今後も続く可能性があり、次年度以降はさらなる加算が必要になることも考えられます。
生活保護は、私たちの生活が困窮した際のセーフティネットです。保護を申請する人が十分な扶助を受けて再度自立した生活が営めるよう、今後も経済・物価情勢に応じた扶助額や扶助基準額の見直しが求められます。
参考資料
- 厚生労働省「生活保護制度」
- 厚生労働省「生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和7年4月)」
- 厚生労働省「福岡大臣会見概要(財務大臣折衝後)」
- 厚生労働省「社会・援護局関係主管課長会議資料」
石上 ユウキ