「年金生活者支援給付金制度」は、所得の少ない老齢年金・障害年金・遺族年金受給者を経済的に支援することを目的とした制度です。2019年に制度が始まり、対象要件を満たす限り、継続的に給付金を受け取ることができます。

近年は、生活に関連する費用の多くが上昇傾向にあります。支給要件に該当すれば、この給付金を受け取ることで、生活費の一部として活用することが可能です。

この記事では、年金生活者支援給付金の制度の概要や申請の流れ、平均受給額についても詳しくお伝えします。

1. 低所得世帯の家計を支える「年金生活者支援給付金」とは?

年金生活者支援給付金は、受給している年金の種類によって受け取れる給付金が異なります。

  • 老齢年金を受給中の方:老齢年金生活者支援給付金
  • 障害年金を受給中の方:障害年金生活者支援給付金
  • 遺族年金を受給中の方:遺族年金生活者支援給付金

また、それぞれに給付基準額が定められています。

【令和7年4月分からの月額給付基準額(カッコ内は前年度からの増額分)】

  • 老齢年金生活者支援給付金:月額5450円(+140円)
  • 障害年金生活者支援給付金(1級の方):月額6813円(+175円)
  • 障害年金生活者支援給付金(2級の方):月額5450円(+140円)
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5450円(+140円)

なお、これらはあくまで基準額であり、実際の給付金額は保険料納付期間や免除期間などに応じて異なります。実際の給付額はいくらなのでしょうか。次の章では平均給付額を確認します。

2. 年金生活者支援給付金の平均給付額

厚生労働省の資料より、令和6年3月時点の平均給付金額について確認しましょう。

  • 老齢年金生活者支援給付金:月額4014円
  • 補足的老齢年金生活者支援給付金:月額2116円
  • 障害年金生活者支援給付金:月額5555円
  • 遺族年金生活者支援給付金:月額5057円

3. 年金生活者支援給付金の「受給要件」

年金生活者支援給付金は偶数月の15日(15日が土日祝日の場合は直前の平日)に、年金と同様に支給されます。口座も同じです。

給付額は、物価変動の影響を受けて毎年度改定されており、今年度の給付金額は前年度より2.7%増えています。同じく老齢基礎年金額も1.9%引き上げられているので、年金と給付金の合計は昨年よりも増加していることになります。

ただし、給付金を受け取るには給付金ごとに条件があります。詳しくみていきましょう。

3.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

以下のすべてに該当する方が対象となります。

  • 65歳以上の老齢基礎年金受給者であること
  • 本人と同一世帯の全員が市町村民税非課税であること
  • 前年の「公的年金等の収入金額(※1)」と「その他の所得」との合計が、以下の基準額以下であること

昭和31年4月2日以降生まれの方:78万9300円以下
昭和31年4月1日以前生まれの方:78万7700円以下

※1 障害年金・遺族年金等の非課税収入は含まない

なお、下記の範囲内の方は「補足的老齢年金生活者支援給付金」が支給されます。

  • 昭和31年4月2日以降生まれの方:78万9300円超~88万9300円以下
  • 昭和31年4月1日以前生まれの方:78万7700円超~88万7700円以下

補足的老齢年金生活者支援給付金とは?

老齢年金生活者支援給付金を受け取ったことにより、受給していない方よりも所得が高くなるという「逆転現象」が生じるのを防ぐための給付金です。支給要件をわずかに超える方を対象に、一定の算式に基づいて補填が行われます。

3.2 障害年金生活者支援給付金の支給要件

以下のすべてに該当する方が対象となります。

  • 障害基礎年金を受給していること
  • 前年の所得額(※)が「472万1000円+扶養親族数×38万円(※2)」以下であること

※1 障害年金等は非課税のため、所得判定に含まない
※2 同一生計配偶者が70歳以上または老人扶養親族の場合:48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族:63万円

3.3 遺族年金生活者支援給付金の支給要件

以下のすべてに該当する方が対象となります。

  • 遺族基礎年金を受給していること
  • 前年の所得額(※)が「472万1000円+扶養親族数×38万円(※2)」以下であること

※1 遺族年金等は非課税のため、所得判定に含まない
※2 同一生計配偶者が70歳以上または老人扶養親族の場合:48万円、特定扶養親族または16歳以上19歳未満の扶養親族:63万円

4. 年金生活者支援給付金の「給付額」

それでは、それぞれの給付額や計算方法について見ていきましょう。

4.1 老齢年金生活者支援給付金の給付額

老齢年金生活者支援給付金は、保険料納付済期間や保険料免除期間などに基づいて算出されます。給付額は以下の2つの合計で決まります。

➀保険料納付済期間に基づく額(月額):5450円 × 保険料納付済月数 ÷ 480月(※1)
②保険料免除期間に基づく額(月額):1万1551円(※2) × 保険料免除月数 ÷ 480月(※1)

補足的老齢年金生活者支援給付金の給付額

補足的老齢年金生活者支援給付金は、以下の算式で計算されます。

5450円×保険料納付済月数÷480月(※1)×調整支給率

なお、調整支給率の計算式は次のとおりです。

  • 昭和31年4月2日以降生まれの方:(88万9300円−前年の年金収入とその他所得の合計)÷10万円
  • 昭和31年4月1日以前生まれの方:(88万7700円−前年の年金収入とその他所得の合計)÷10万円

※1 昭和16年4月1日以前生まれの方は、生年月日に応じて480月が短縮される
※2 保険料免除期間に乗じる金額は、毎年度の老齢基礎年金の改定で変動

4.2 障害年金生活者支援給付金の給付額

  • 障害等級1級の方:月額6813円
  • 障害等級2級の方:月額5450円

4.3 遺族年金生活者支援給付金の給付額

月額5450円
※子ども2人以上が遺族基礎年金を受給している場合、5450円を子の人数で等分して支給されます。

5. 年金生活者支援給付金の「手続き」

給付金の受給には申請が必要です。対象者であっても、申請を行わなければ給付は受けられません。

年金受給中で新たに要件を満たした方には、毎年9月頃「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が届きます。給付を希望する場合は、必要事項を記入のうえ、返送しましょう。

65歳になる方には、3カ月前に「年金請求書(事前送付用)」が送付されます。給付金の対象となる方には、年金請求書と一緒に給付金の請求書も同封されています。届いたら、まずは確認をしましょう。

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ3/3

老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ

出所:日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求する方の請求手続きの流れ」

また、既に給付を受けている方は、要件に該当する限り、継続して給付されるので、新たに手続きをおこなう必要はありません。毎年6月上旬頃に「支給金額(改定)通知書」および「振込通知書」が送付されるので、こちらも内容を確認しておきましょう。

6. 申請は必須、該当者は早めの対応を

年金生活者支援給付金は、該当要件を満たしていても、申請を行わなければ給付を受けることはできません。

書類が届いているにもかかわらず未手続きのままの方は、速やかに対応されることをおすすめします。

手続きは、基本的に記入・返送で完了する比較的簡単なものです。不明点がある場合は、日本年金機構の専用ダイヤルなどを活用するのもよいでしょう。

必要な支援を確実に受けるために、制度を理解し、忘れずに申請を行うことが大切です。

参考資料