3. 「資産寿命」を延ばすために私たちができること
現役のうちに貯蓄をしていても、経済情勢や健康面での予期せぬトラブルなどで支出が増え、資産が少なくなる可能性も考えられます。資産寿命を少しでも延ばし、安心して暮らすためには以下のような方法を試してみましょう。
- 働く期間を増やす
- 資産の運用を老後も続ける
働く時間を増やして収入自体を増やせば、資産の取り崩し額を抑えられるため、資産寿命を延ばせます。国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によれば、65〜69歳の平均給与は354万円、70歳以上の平均給与は293万円です。
現役時代に比べると少なくなるものの、毎月の収入は増えて、家計のやりくりがしやすくなるでしょう。
また、老後も資産運用を続けていけば、資産の取り崩しと資産の増加の両立が可能です。老後の資産運用に効果的なのがNISAです。NISAは2024年から非課税で資産を保有できる期間が無制限になり、制度が恒久化されました。そのため、一度NISA口座を開設すれば生涯利用し続けられるのです。
NISA口座から取り崩しをした際は、取り崩した金額分だけ非課税で運用できる枠が減ります。しかし、翌年には枠が復活するため、取り崩した後も資産運用しやすい設計になっています。
NISAで資産運用する際は、価格の下落などのリスクを事前に想定しておくのが大切です。とくに老後に資産価値が暴落すると、生活に支障をおよぼす可能性があります。資産価値を極力落とさないよう値動きの少ない商品に投資するなど、低リスクな運用が求められます。
4. まとめ
4000万円の貯蓄が用意できれば、資産寿命は最高で37年あるため、長生きしても資産が枯渇する可能性は少なくなります。老後は健康面などから予期せぬ支出が発生する可能性もあるため、できる限り多くの金額を備えておきたいものです。
一方で、資産を必要以上に用意しすぎると、相続時に親族に相続税がかかってしまい、余計な負担や手間をかけさせてしまいます。今のうちから老後のライフプランを立てて、自分の人生にあった資産額を用意しておくとよいです。
参考資料
石上 ユウキ