株価や不動産価格の上昇、為替の円安などを背景に、日本国内でも「富裕層」と呼ばれる人たちが着実に増え続けています。

特別な資産家だけでなく、投資の成功をきっかけに、富裕層の仲間入りを果たす人も少なくありません。

本記事では、最新の調査結果に基づいて、日本における富裕層の実態や増加の背景をわかりやすく解説します。

また、高額所得者層の「購買スタイル」の変化についても見ていきましょう。

1. そもそも富裕層とは?

野村総合研究所は、世帯として保有する金融資産の合計額から不動産購入に伴う借入などの負債を差し引いた「純金融資産保有額」をもとに、総世帯を以下の5つの階層に分類しています。

  • マス層:3000万円未満
  • アッパーマス層:3000万円以上5000万円未満
  • 準富裕層:5000万円以上1億円未満
  • 富裕層:1億円以上5億円未満
  • 超富裕層:5億円以上

野村総合研究所の定義によれば、純金融資産保有額が1億円以上5億円未満の世帯を「富裕層」としています。

1.1 日本に富裕層はどのくらいいる?

同じく野村総合研究所の調査によると、日本の富裕層は153万5000世帯(2023年時点)あり、純金融資産総額は334兆円に上るとのことです。

5億円以上を有する超富裕層も含めれば165万3000世帯となり、純金融資産総額は推計469兆円に上ります。

全世帯の純金融資産総額1795兆円のうち、富裕層以上の世帯が有する資産額は約26.1%に上る計算です。

1.2 富裕層・超富裕層は増加傾向に

2005年から2023年までの推計結果を見ると、富裕層・超富裕層の世帯数および純金融資産額は、2013年から一貫して増加傾向にあります。

富裕層および超富裕層の総資産額の推移は、以下のとおりです。

  • 2005年:86万5000世帯・213兆円
  • 2007年:90万3000世帯・254兆円
  • 2009年:84万5000世帯・195兆円
  • 2011年:81万世帯・188兆円
  • 2013年:100万7000世帯・241兆円
  • 2015年:121万7000世帯・272兆円
  • 2017年:126万7000世帯・299兆円
  • 2019年:132万7000世帯・333兆円
  • 2021年:148万5000世帯・364兆円
  • 2023年:165万3000世帯・469兆円

では、富裕層が増加している要因としてどのようなことが考えられるのでしょうか。