4. 口座が凍結された後でも預金を引き出せる「預金払戻し制度」とは?

「預金払戻し制度」とは、相続発生後に口座が凍結されても、家庭裁判所を通さずに相続人が一定額まで預金を引き出せる仕組みです。

この制度は、2019年7月施行の「改正相続法」により新たに設けられました。

払戻し可能な金額は、次の計算式によって算出されます。

  • 相続開始時の預金額×1/3×払戻しをする相続人の法定相続分

なお、1つの金融機関から引き出せる上限は150万円までです。

4.1 なぜ「預金払戻し制度」が新設された?

相続が発生すると、さまざまな問題が生じる場合があります。

  • 口座が凍結され、預金が引き出せない
  • 遺産分割協議に時間がかかり、相続手続きが長引く
  • 葬儀費や生活費の立替額が大きく、喪主の負担が増える

これらへの対応策として、相続人が一定額の預金を単独で引き出せる「預金払戻し制度」が設けられました。

なお、この制度で引き出した預金は、後の遺産分割協議で精算されます。

また、「預金払戻し制度」を利用できるかどうかは金融機関ごとに異なるため、事前に取引先の銀行へ確認しておくことが大切です。

5. 「争続」を防ぐための資産整理と相続対策

本記事では、相続発生時の銀行預金の取り扱いについて解説しました。

相続がいつ発生するかは誰にもわかりません。手続き方法をしっかりと確認しておくことが大切です。

また、ご自身が被相続人になった場合のことも考えておきましょう。

誰にどのくらいの資産を遺すのかをあらかじめ決めておくのもよいかもしれません。

「争続」にならないように、自分の資産を整理しておくことで、遺された方々の手続き負担を軽減できるでしょう。

参考資料