8月はお盆の季節。家族や親せきが集まり、故人をしのぶ時間が増えるこの時期は、自然と「もしものとき」に備える大切さを考えるきっかけにもなります。
大切な人が亡くなったとき、まず行うのが「死亡届」の提出。その後には、遺産の相続や各種手続きを進める必要がありますが、慌ただしい中で進めなければならないことも多く、事前に流れや注意点を知っておくことで、心の余裕にもつながります。
この記事では、相続発生時に銀行口座が凍結されるまでの流れや、相続の基本的な仕組み、よくある注意点をわかりやすく解説します。
突然の出来事に戸惑わないためにも、いざという時に備えた知識の準備が大切です。お盆の静かなひとときに、ご家族と一緒に、一度ゆっくりと考えてみましょう。
1. 役所に死亡届を提出すると「銀行口座が凍結される」って本当?ウソ?
葬儀の手続きにあたって、死亡届を役所に提出する際「銀行口座がすぐに凍結されるのでは」と心配される方もいるかもしれません。
しかし、実際には役所への届出だけで銀行口座が即座に凍結されることはありません。
銀行口座が凍結されるのは、親族などが銀行に対して「名義人が亡くなった」と知らせた時点です。
また、ごくまれに銀行職員が新聞の訃報や葬儀情報などを通じて死亡を把握し、親族に確認したうえで凍結手続きを行うケースもあります。
なお、同じ銀行内に複数の支店口座がある場合は、1つの支店で手続きをすれば、他の支店口座もあわせて凍結されることがあります。
ただし、銀行間で死亡情報が自動的に共有されることはないため、相続人は故人が取引していたすべての金融機関に個別に届け出を行う必要があります。
1.1 「預金口座が凍結される」と引き出しができなくなるの?
銀行に名義人の死亡を連絡すると、相続手続きが完了するまでその口座は凍結され、入出金が一切できなくなります。
これにより、次のような影響が生じます。
- 亡くなる直前の入院費や葬儀費の清算ができない
- 口座引き落としによる支払いが停止される
- 振り込みによる受取ができなくなる
- 電気、水道、ガス、携帯電話料金の未払いにより、延滞料の発生やライフラインが止まる可能性がある
こうした影響を回避するためには、生前のうちに適切な対策を講じておくことが大切です。