夏休み。家族が集まって親との同居を含めた未来について話し合う機会が増えるかもしれません。
「両親と自分の家族が同居している」
「介護が必要になる可能性を考慮して、両親との同居を検討している」
という方は、「世帯分離」のメリットとデメリットを確認して、親との同居について考えてみてはいかがでしょうか。
1. 世帯分離とは?
「世帯分離」とは、住民票上、もともと同じ世帯に属していた家族を別の世帯として届け出ることを指します。
たとえば、親と子が同じ家に住んでいる場合でも、住民票上では「親の世帯」と「子の世帯」に分けることができます。
このとき、実際に別々の家に住む必要はありません。住所は同じままで、あくまでも“行政上の区分”として世帯を分けることが可能です。
一緒に住む親と子どもの世帯を分けることに、どのようなメリットがあるのでしょうか。次章で確認していきます。
2. 「世帯分離」による主なメリット3つ
世帯分離には、主に以下のようなメリットがあると考えられます。
- 介護サービス費用の軽減(高額介護サービス費も含む)
- 国民健康保険料の軽減
- 各種給付金の受給可能性
2.1 介護サービス費用の軽減(高額介護サービス費も含む)
介護保険サービスを利用する際の自己負担割合は、世帯の所得に応じて1割〜3割に設定されています。
このとき、世帯分離を行うことで、同居している家族の収入と合算されていた所得が、親の収入だけで判断されるようになります。
その結果、親の自己負担割合が引き下げられる可能性があります。
また、介護サービスにかかる自己負担額が一定額を超えた場合に差額が払い戻される「高額介護サービス費」の仕組みにおいても、世帯分離によって対象となる基準が緩和されるケースがあり、負担軽減につながることもあります。
2.2 国民健康保険料・後期高齢者医療保険料の軽減
世帯分離によって、親の世帯所得が低くなると、親の国民健康保険料または後期高齢者医療保険料の負担が軽減される場合があります。
これは、保険料が世帯の所得に応じて算出されるためです。
2.3 各種給付金の受給可能性
世帯分離によって親の世帯所得が低くなると、所得が一定額未満の世帯を対象とした給付金や支援制度の対象となる可能性があります。
世帯分離による主なメリットとして上記をあげました。一方で、デメリットになるケースもあるので次章で確認していきましょう。
3. 「世帯分離」による主なデメリット3つ
世帯を分離することのメリットを確認しましたが、デメリットとなるケースもあります。
- 国民健康保険料が増えるケースがある
- 扶養控除や手当がなくなる
- 高額療養費制度の合算対象外になる
3.1 国民健康保険料が増加する場合がある
世帯分離によるメリットとして、親の世帯の国民健康保険料が減る可能性があることをあげました。しかし、その一方で、子の世帯の国民健康保険料が増加する可能性がある点に留意しましょう。
親の世帯は国民健康保険料が減っても、子の世帯の国民健康保険料が増えれば、世帯全体で見たときに保険料の総額が増えてしまうケースも考えられます。
3.2 扶養控除や手当が喪失する
子が親を税法上の扶養に入れていた場合、世帯分離によって扶養控除が受けられなくなるケースがあります。また、家族手当など、企業からの手当が支給されなくなる可能性も考慮しておきましょう。
3.3 高額療養費制度の合算対象外になる
高額療養費制度は、医療費の自己負担が高額になった場合に、一定額を超えた分が払い戻される制度です。同一世帯の医療費を合算して上限額を計算しますが、世帯分離すると合算できなくなるため、個々の負担額が増える可能性があります。
なお、世帯分離の手続きは、お住まいの市町村にて手続きを行います。
本人確認や生計が別であることを証明する書類などを提出する必要があり、やや煩雑である点にもご留意ください。
4. まとめ
「世帯分離」により、とくに高齢の親の介護費用や医療費、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、扶養控除や家族手当が受けられない、子ども世帯の保険料が増えるなど、総合的に判断するとデメリットの方が大きくなるケースも。
自分たちの世帯において世帯分離が必要かどうか、十分に検討しましょう。
参考資料
和田 直子