2. 日本人の給与が増えなかった原因
30年間ほとんど給与が増えなかった主な要因のひとつは、企業の賃金コスト抑制です。景気低迷により企業業績が悪化し、コストを抑えることで企業が収益の確保を図ったからです。
また、企業業績の先行きが見通せない中、仕事の繁閑に応じた雇用調整が容易で賃金の低い「非正規雇用」を拡大したことが、給与の伸び抑制に拍車をかけました。
「就職氷河期世代」と呼ばれる正社員になることが困難な時代を経て、低賃金の人が増えました。
また、非正規雇用労働者の増加は、女性や高齢者の就業率が高まったことも要因となっています。
ここまで、会社員の平均給与の推移と30年間給与がほとんど上がらなかった要因について解説してきました。
次章では、非正規雇用の拡大のほか、この30年間に起こった給与や働き方などに関するさまざまな変化をいくつか紹介します。