7. 年金制度改正の全体像
2025年6月13日、「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で可決され、法律として成立しました。
この改正は多様化する働き方や家族構成、ライフスタイルを踏まえた年金制度を目指すものです。また、私的年金制度の拡充や所得再分配の強化などによって、シニアの暮らしの安定に繋げることなども大切な狙いです。
今回の改正の全体像を見ておきましょう。
7.1 主な改正内容
社会保険の加入対象の拡大
- 中小企業において短時間で働く人などが、厚生年金や健康保険に加入し、年金増額などのメリットを受けられるようにする
在職老齢年金の見直し
- 年金を受け取りながら働くシニアが、年金を減額されにくくなり、より多く働けるようにする
遺族年金の見直し
- 遺族年金の男女差を解消。子どもが遺族基礎年金を受給しやすくする
保険料や年金額の計算に使う賃金の上限の引き上げ
- 月収が一定以上となる人が、賃金に応じた年金保険料を負担し、現役時代の賃金に見合った年金を受給しやすくする
その他の見直し
- 子どもの加算などの見直し、脱退一時金の見直し
- 私的年金の見直し:iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)加入年齢の上限引き上げなど
上記の改正内容からも、公的年金は「老後の受給額」だけの話ではなく、現役世代の働き方やキャリアプラン、人生設計とも深い関わりを持つことが分かります。
8. まとめにかえて
ここまで、「年金生活者支援給付金」の概要や対象者、2025年度の給付額、そして申請方法について解説しました。公的年金は老後の生活を支える大切な制度ですが、特に所得が低い方にとっては「年金生活者支援給付金」が心強い支えとなります。
また、厚生年金と国民年金の平均受給額やその分布をご覧いただき、ご自身の状況と照らし合わせることで、より具体的な老後資金の計画を立てる参考になったのではないでしょうか。
繰上げ受給のような選択肢も存在しますが、それぞれのメリット・デメリットを理解し、ご自身のライフプランに合った選択をすることが重要です。年金制度は常に改正されており、その内容を把握しておくことで、より安心できる老後へと繋がります。
参考資料
- 厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」
- 日本年金機構「令和7年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「老齢基礎年金を新規に請求される方の請求手続きの流れ」
- 日本年金機構「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)が届いた方へ」
- 厚生労働省年金局「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
LIMO編集部