梅雨が明け、本格的な夏が始まる7月は、夏のボーナス商戦も一段落し、ご自身の資産状況について改めて考えるよい機会です。
特に、老後の生活を支える公的年金は、誰もが関心を寄せるテーマではないでしょうか。今年の年金額が1.9%引き上げられたというニュースは、喜ばしい反面、物価上昇を考慮すると実質的には目減りしているとも言われています。
老後の不安を少しでも和らげるためには、年金制度の仕組みを正しく理解し、ご自身の将来設計に役立てることが重要です。
本記事では、公的年金の基礎知識から最新の改定情報、そして平均受給額について詳しく解説します。
1. 公的年金は2階建て
日本の公的年金は「2階建て構造」と表現されることがあります。
これは、1階部分にあたる「国民年金(基礎年金)」と2階部分にあたる「厚生年金」から構成されるためです。
1.1 《1階部分》国民年金
- 加入対象者:原則として日本に住む20歳以上から60歳未満のすべての人(職業・国籍は問わない)
- 年金保険料:全員一律(※1)
- 老後の受給額:全期間(480カ月)欠かさず納めれば満額(※2)が受け取れる
※1 国民年金保険料:2025年度の月額は1万7510円(年度ごとに改定あり)
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2025年度の月額は6万9308円
1.2 《2階部分》厚生年金 ※国民年金に上乗せで加入
- 加入対象者:会社員や公務員、またパートなど特定適用事業所(※3)に働き、一定要件を満たした人
- 年金保険料:収入に応じて決まる(上限あり(※4))
- 老後の受給額:加入期間や納めた保険料により個人差が出る
※3 特定適用事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金保険料:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される
このように「国民年金」と「厚生年金」では、その加入対象者や保険料の仕組み、老後の受給額の決まり方などが異なります。