生活保護制度は、憲法で保障された「健康で文化的な最低限度の生活」を実現するための重要な社会保障制度です。世帯単位で審査が行われ、資産や能力を活用しても最低限度の生活が困難な場合に、経済的な援助が行われます。
最近では、2013年からの生活保護費引き下げについて最高裁が違法判決を下し、制度の在り方が注目されています。
1. 生活保護ってどんな制度?誰が受けられるの?
生活保護制度とは、生活に困窮する方に対して、困窮の程度に応じて必要な保護を行う公的制度です。
憲法で定められている健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を助長する趣旨で設けられています。
なお、生活保護の相談・申請窓口は、住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当です。
2. 生活保護を受けるには?申請前に知っておきたい条件
生活保護の審査は、世帯単位で行います。世帯員全員が保有している資産や能力などを活用しても、最低限度の生活を維持することが難しい場合、状況に応じて保護が実施されます。
単に経済的に困窮しているだけでは足らず、働くことが可能な方は、その能力に応じて働くことが求められます。年金や手当など、他の制度で給付を受けることができる場合は、まずはそれらを活用しなければなりません。
なお、生活保護の扶助は8種類です。厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、差額が保護費として支給されます。
なお、寒冷地においては冬場の暖房費がかさむことを織り込み、「冬季加算」が行われています。
支給額は級地区分と世帯人数に応じて変わり、数千円~2万円程度です。また、支給される時期は以下のように決まっています。
- I区:10月から4月まで
- Ⅱ区:10月から4月まで
- Ⅲ区:11月から3月まで
- Ⅳ区:11月から3月まで
- Ⅴ区:11月から3月まで
- Ⅵ区:11月から3月まで
3. 手続きはどんな流れ?実際のステップを解説
生活保護を申請する際の流れは、以下のとおりです。
- 事前の相談:住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当で相談する
- 保護の申請:保護の決定のために、財産調査や扶養義務者の調査を行う
- 保護費の支給
財産調査や扶養義務者の調査では、生活状況を把握するための家庭訪問や預貯金・保険・不動産などの資産調査が行われます。扶養義務者の送りによる援助の可否も調査され、「本当に生活保護を使わないと事態を解決できないのか」が調査されます。
4. 生活保護費の引き下げに違法判決
生活保護費に関する判決が話題になっています。
最高裁判所は、国が2013年から段階的に行った生活保護費の引き下げについて「厚生労働大臣の判断に誤りがあり違法」とする判決を言い渡しました。
国は、物価下落を理由に3年間で最大10%の減額を実施しました。
しかし、最高裁は「物価変動率だけを指標にした判断は専門的知識と整合性を欠く」と指摘し、厚生労働省の定めた生活保護の基準額について「違法」と判断しました。
なお、判決を受けて原告団と弁護団は厚生労働省に対して、未払い分の訴求支給を要求しています。今後の進展次第では、生活保護の基準額にも影響が出るかもしれません。
5. まとめにかえて
生活保護制度は単なる経済的支援ではなく、自立を促進する総合的な制度です。
生活に困窮している方は、まず最寄りの福祉事務所に相談し、他の制度も含めて総合的な支援を検討しましょう。
ただし、働ける能力がある場合は働いて生活を自立させるのが筋であり、申請には世帯全体の状況が詳しく調査される点は押さえておきましょう。

