昭和時代の専業主婦世帯を前提とした遺族厚生年金制度が、共働き世帯の増加に対応するため、2028年4月に見直される予定です。

現在は「子のない妻」と「子のない夫」で差が設けられており、「子のない妻」のほうが手厚い給付を受けられます。新制度では、60歳未満での死別は男女とも5年有期給付とし、格差を解消する方針です。

1. 現行の遺族厚生年金制度の課題

現行の遺族厚生年金は、受給者となる遺族が「子のない妻」と「子のない夫」の場合で、支給条件や支給期間が異なります。

現行の遺族厚生年金制度の課題

現行の遺族厚生年金制度の課題

出所:筆者作成

女性のほうが、受給が手厚い内容となっています。これは、遺族厚生年金が昭和時代の「夫が働き、妻が専業主婦」という家族モデルを前提として制度を設計しているためです。

昨今のように、共働き世帯が増えている状況に対応できているとはいえません。

実際に、独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、2024年における共働き世帯は1300万世帯、専業主婦世帯は508万世帯でした。

2024年における共働き世帯は1300万世帯、専業主婦世帯は508万世帯

2024年における共働き世帯は1300万世帯、専業主婦世帯は508万世帯

出所:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「図12 専業主婦世帯と共働き世帯」

女性の社会進出が進んでいる状況を考えると、現行の遺族厚生年金制度は時代に不整合な設計となっています。