2. 遺族厚生年金の見直し内容
男女差を解消し、時代に適した制度設計にするために、遺族厚生年金の見直しが議論されています。政府も制度改正の検討を本格化させており、段階的に男女差の解消を目指す予定です。
具体的には、60歳未満で死別した場合は男女ともに原則5年間の有期給付、60歳以上で死別した場合は無期給付となる予定です。なお、遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定です。
2.1 見直しで損をするのは「30歳以上の子のない妻」
今回の見直しは、「30歳以上の子のない妻」にとっては制度の改悪です。現行制度では終身にわたって支給されていた遺族厚生年金が5年間の有期給付となるため、総受給額に大きな影響が出るでしょう。
ただし、経過措置が設けられている関係で、2028年度に40歳以上になる女性は現行通り終身にわたって遺族厚生年金を受け取れます。
2.2 見直しで得をするのは「子のない夫」
一方で、「子のない夫」にとっては改善といえます。55歳未満で死別した場合、現行制度ではそもそも受給権がありません。
しかし、2028年4月からは年齢に関係なく、5年間の有期年金を受け取れます。これにより、生計を主に支えているのが妻という世帯においても、5年間の遺族保障が設けられることになります。