本格的な夏の暑さが開始した7月ですが、次回の年金支給日である8月15日(金)まで残り1か月少しと近づいてきました。今回は、厚生労働省が公表した「令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」や日本年金機構の「ねんきん定期便」資料をもとに、年金制度の基本と厚生年金の受給額の実態を整理します。

1. 【年金制度の基本】国民年金と厚生年金の違い

最初に、年金制度の仕組みについて簡単に確認をしておきます。

日本の公的年金制度は、1階部分にあたる「国民年金」と2階部分にあたる「厚生年金」からなる「2階建て構造」といわれています。

1.1 【国民年金】20歳からの基礎的な保障

  • 加入対象は?:原則、日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
  • 保険料は?:全員一律、年度ごとに見直しあり(※1)
  • 年金額は?:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降に満額の基礎年金(※2)を受給できる(未納期間分に応じて減額調整)

※1 国民年金保険料:1万7510円(2025年度の月額)
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:6万9308円(2025年度の月額)

1.2 【厚生年金】報酬に応じて支給額が決まるしくみ

  • 加入対象は?:主に会社員、公務員など
  • 保険料は?:収入に応じて(上限あり)決定する報酬比例制
  • 年金額は?:加入期間や納付保険料により決定(国民年金に上乗せして支給)

国民年金の保険料は「全員一律」ですが、厚生年金の保険料は「報酬比例制」です。

そのため、現役時代に「国民年金」または「厚生年金」のどちらに加入していたかで、老後の受給額に大きな差が出ます。

厚生年金の場合、毎月の給与や賞与などおった報酬に所定の保険料率を乗じて保険料を決定するため、納付する保険料は人それぞれ異なります。