2025年の春ごろより「障害年金」申請に関するニュースが報じられ、障害者支援制度への関心が高まっています。このような状況において、「障害年金」と「障害者手帳」を同じ制度だと誤解されている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、これらは目的も基準も異なる、それぞれ独立した制度です。
今回は、厚生労働省の最新調査をもとに、3種類の障害者手帳の概要、特に「身体障害者手帳」の所持者の傾向と、「障害年金」との違いについて詳しく解説していきます。
1. 【一覧表】3種類の障害者手帳とは?特徴と違いを解説
障害者手帳は、「身体障害者手帳」「療育手帳」「精神障害者保健福祉手帳」の3種類を指します。これらの手帳を持つことで、障害者総合支援法に基づいた多様な支援が受けられるようになります。また、自治体や民間企業が提供する独自のサービスも利用可能となり、手帳は必要な支援にアクセスするための重要なツールとなります。
1.1 【身体障害者手帳】
身体障害者手帳は、視覚や聴覚、手足などの身体機能に一定以上の障がいが認められた方に交付されるものです。取得には指定医師の診断書や意見書が必要となり、原則として更新は不要ですが、障がいの状態に変化があった場合は再認定を受けることもあります。この手帳は身体障害者福祉法に基づき、都道府県・指定都市・中核市が交付を行っています。全国の自治体から報告された各種福祉サービスの実施・利用状況をまとめた厚生労働省「令和5年度の福祉行政報告例」によると、身体障害者手帳の所持者数は478万3069人です。
1.2 【療育手帳】
療育手帳は、児童相談所や知的障害者更生相談所にて知的障害と判定された方に交付されます。この手帳を持つことで、障害福祉サービスをはじめ、自治体や民間が提供する様々な支援を受けることが可能になります。療育手帳の制度は自治体ごとに運用方法や判定基準が定められています。「令和5年度の福祉行政報告例」によると、療育手帳の所持者数は128万14691人です。
1.3 精神障害者保健福祉手帳
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害があると認められた人に交付されます。手帳を持っている方々には、社会参加の促進等を図るために様々な支援を受けることができます。精神障害者保健福祉手帳には1級から3級までありますが、精神疾患の状態と能力障害の状態の両面から総合的に判断して等級が決まります。「令和5年度の福祉行政報告例」によると、療育手帳の所持者数は144万8917人です。
今回は「身体障害者手帳」の所持者について解説していきます。