親は子どもを、理性や知性を持つ人へと育てていく必要があります。その過程で「人間も動物である」と意識すると、具体的にどんな場面で気持ちが楽になるのでしょうか。

  • お茶やご飯をこぼすのは、乳幼児期は当たり前
  • 子どもの不思議行動(物を投げる、テレビ台に登る、水や泥が好きなど)も、成長の過程で感覚を鍛えるためと納得できる
  • 言葉が未発達だから、泣いたり怒ったりして感情表現や意思疎通をはかろうとし、ストレス発散もする
  • 筋肉をつけたり好奇心を満たすため、危ないことに手を出す
  • 0~1歳児は本能全開なので、基本的には言っても分からない
  • 2歳頃から少しずつ分かり始めるものの、幼児期は何十回と教えたり、実際に見せながら教える必要がある。イヤイヤ期もあり、スムーズにはいかない
  • 教えたことを「本当の意味で理解」するのは、発達と数多くの経験が必要。小学生でも分からないことはたくさんあるほど、時間がかかる

注意したいのは、「だからといって教えなくてもいい」ということではありません。多くの言語を聞かせるほど早く言葉が分かるようになりますし、動作や言葉で何となく理解する場合もあります。

大切なのは「小さな頃から教えるものの、すぐに理解するとは思わず、いつ分かるようになるか見守る」スタンスでいること。結局は目が離せなかったり、こぼしたものを片付けたり、泣き止ませたりと物理的には大変です。しかし「何で分からないの」と悶々とするよりも、気が楽になるしょう。

親も本能を大切にしてみる

親も本来は動物ですから、育児を良い機会と捉え、自分の本能を大切にすることもお勧めします。たとえば世間では多くの「こうすべき」という育児論がありますが、「それがこの子と私に合うかどうか」と本能レベルで考えてみましょう。

抱き癖が付くといわれても、抱っこしたいなら抱っこすればいいでしょう。1歳で断乳はちょっと違うと思うなら、2歳、3歳と授乳するのもありです。逆に無理して子どもと遊び続ける必要もないですし、子どもは無理する親の気持ちも見抜きますから、疲れたら休みましょう。

動物的でいることは時に危険をはらみます。しかし人間としての良心や倫理観が働き、危険に傾かない大人が大半でしょう。つい大人目線で育児をしそうになったら、人間も動物であることを思い出してみてくださいね。

宮野 茉莉子