6. 【マネーの豆知識】エンゲル係数って?

食費高騰のイメージ。ロケットに買い物かごがぶら下がっている

Maxx-Studio/shutterstock.com

先ほどの65歳以上・リタイア夫婦の家計収支の章で登場した「エンゲル係数」。家計の状況を知る上でなぜ参考になるのか、改めて解説していきます。

エンゲル係数とは、家計の消費支出(いわゆる生活費)に占める食費の割合を示す指標のこと。計算式は非常にシンプルです。

エンゲル係数=食費÷消費支出×100(%)

例えば、ある月の消費支出が10万円だったとします。そのうち、食費が3万円だった場合、エンゲル係数は(3万円÷10万円)×100=30%となります。

一般的に、エンゲル係数が高いほど家計に占める食費の割合が高く、生活水準が低い傾向にあるとされています。これは、所得が低いほど支出全体に対して生活に必要な食費の占める割合が大きくなるためです。

逆に、所得が高くなるにつれて、食費以外の教育費、娯楽費、交通費などといったより多様な支出が増えるため、エンゲル係数は低くなる傾向があります。

ただし、食費の占める割合は、年代や世帯構成によって自然と変わってくるため注意が必要です。

例えば、子育て世帯では、成長期である子どものために食費がかさむ傾向があるため、エンゲル係数が高くなることがあります。

また、高齢者の単身世帯で食費の絶対額が少なかったとしても、他の支出も抑えられている場合には、エンゲル係数が高くなるということもあります。

エンゲル係数が急に上昇した場合、単に食費が増えすぎているだけなのか、それとも他の支出を抑えざるを得ない状況になっているのかなど、支出について気にするようにしてみましょう。

7. まとめにかえて

今回は、70歳代世帯の貯蓄事情、シニアの年金データ、さらにはリタイア世帯の家計収支に関する数字をご紹介しました。

厚生年金や国民年金の受給額には大きな個人差があること、そして標準的なシニア世帯の家計は「年金収入だけでは赤字傾向」となる。厳しい現実も見えてきました。

老後の生活は、現役時代の延長線上にあります。若いうちから家計管理をしっかりおこない、辛抱強く資産形成をおこなう資産を築いておくこと。こうした習慣そのものも、ゆとりある老後に繋がる大切な財産になると言えそうですね。

参考資料

マネー編集部貯蓄班